L・ロン・ハバートのSF小説が巨額の予算をつぎ込んで映像化された。 同氏の熱狂的信奉者であるジョン・トラボルタが、長年の悲願を達成しての成果だ。メガホンをとるのは『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』のセカンドユニット監督、ロジャー・クリスチャンで、劇場長編作品は初監督となる。 舞台となる西暦3000年代はSF映画では非常にめずらしく、どのように表現されるのか注目だ。 (文責:野良犬黒吉) |
1000年後の地球をお見せしよう。 地球の文明は僅か9分間で壊滅――そして人類はひざまずく INTRODUCTION ジョン・トラボルタ主演SFアクション大作、ここに極まる。 ハリウッドきっての個性派人気スター、ジョン・トラボルタが究極の「悪」に挑むSFアクション大作、それが『バトルフィールド・アース』だ。時は今より1000年後、西暦3000年の世界。荒涼とした地球には、人間の作り上げた文明の影すらない。人間たちは巨大にして凶悪な異星人・サイクロ人に支配され、奴隷と化していたのだ。このサイクロ人を率いるリーダー、タールこそがトラボルタの演じるキャラクターである。しかも狡猾なエゴイストである彼は地球を利用し、宇宙を牛耳ろうという大いなる陰謀を抱いているのだ。地球に生まれた勇敢な若者ジョニー(バリー・ペッパー)は、タールに反旗を翻すも捕らえられ、秘密の訓練を受けることになる。その訓練を通して、恐るべき事実を知るジョニー。幾千もの銀河を支配する宇宙最強の種族と人類の、壮絶なバトルが今、始まろうとしている……! とてつもない想像力が生んだ壮大なスケールの物語世界に、驚異の肉体構造を持つサイクロ人の恐ろしさ。さらに、SFX技術を駆使したバトルシーンの大迫力。SF映画ならではの醍醐味が、ここにある。 そして、なんといっても今までとはひと味もふた味も違った役作りを見せるトラボルタは必見だ。『パルプ・フクション』、そして『フェイス/オフ』でゾクゾクするような「悪」の魅力を印象づけた彼だが、今回は宇宙規模のスケールで究極の「悪」を追求。その演技のインパクトは、トラボルタのまったく新しい一面を発見させてくれるはずだ。それもそのはず、この映画はトラボルタにとって、長年にわたり願い続けていた夢の実現にほかならないのだ。 原作は、L・ロン・ハバードによるベストセラーSF小説。1982年出版にもかかわらず、2000年度の全米読者協会“20世紀を代表するSF作品”第1位を獲得するなど、熱狂的ファンの多い名作シリーズだ。これを初版で読んだトラボルタはスケール感あふれるSF叙事詩にすっかり魅せられ、以来、自分の主演で映画化しようと企画を温め続けていたという。そして、あらゆる特殊効果技術が進化した今、ついに夢は現実のものとなったのである。 そしてもう一人、この映画で新境地を開拓した若手スターが、『プライベート・ライアン』の狙撃兵で強い個性をアピールしたバリー・ペッパーだ。地球の命運を賭けて闘うジョニー役でトラボルタと堂々、渡り合い、野性的な魅力を発揮する。タールの補佐官、カー役を演じるフォレスト・ウィテカーとトラボルタの演技合戦も、見所の一つといえるだろう。 監督は、『スター・ウォーズ』シリーズに大きく貢献した、『ノストラダムス』のロジャー・クリスチャン。また、クリーチャーデザインには『GODZILLA/ゴジラ』や『インデペンデンス・デイ』などで、特殊効果分野におけるマルチな才能を認められるパトリック・タトポロスがあたっている。 1人のサイクロ人の野望の前に、 人類はなすすべもない。 STORY 西暦3000年。地球文明を僅か9分間で壊滅させた異星人・サイクロ人の侵略によって、荒廃しきった地球には、もはや文明の影さえない。生き残ったわずかな人間たちは、山の奥深くに隠れ住むか、サイクロ人たちの奴隷として生きるしかなかった。山間の村に住んでいた勇敢な青年、ジョニー(バリー・ペッパー)は、悪の伝説に怯える村人や恋人クリシー(サビニ・カーセンティ)を振り切って冒険の旅に出た。しかし突然現れたはじめて目にする異星人=サイクロ人の手に捕らえられてしまう。 ジョニーが瞬時のうちに連れ去られたサイクロ人の移住空間ゾーン。サイクロ人たちは、体長約3メートル、ガスを吸って生きる宇宙最強の種族だ。地球を統治しているサイクロ人のリーダーは、腹黒い野心家の司令隊長タール(ジョン・トラボルタ)だった。補佐官カー(フォレスト・ウィテカー)から貴重な資源に関するある秘密を聞き出したタールは、その資源を得るための第1歩として人間を奴隷として飼いならし、宇宙を牛耳るという陰謀を企てる。そのためには、人間を一人、自分との橋渡し役としてうまく操る必要があった。逃亡をはかったジョニーに白羽の矢を立てたタールは、彼を捕らえて学習マシンにかけ、サイクロ語やサイクロ人の様々な知識、これまでに地球で起こった悲劇のすべてを教え込み、訓練を受けさせ、意のままに操ろうとしていた。 訓練を通して、今や地球の過ちの全てとその知識を知ることとなったジョニーは風前の灯火となった地球を救う手立てを、膨大な知識の海の中から探すのだった。サイクロ人からこの星を取り戻さなければ、人類は滅亡する――。タールの陰謀を利用して、仲間とともに反撃に出ようと決意するジョニー。いよいよ、異星人と人類との壮絶なるバトルの幕が開こうとしていた。タールは、何故危険を冒してジョニーに地球の知識を教えたのか?タールの抱いている壮大な陰謀とは何なのか?果たして人間たちは、強敵、タールの裏をかくことができるのか?人類に、地球に未来はあるのだろうか……!? BATTLEFIELD EARTH 20××年、地球人類は科学技術の発達に伴い、飢えも争いもなく、人口爆発や環境汚染の問題も解決された、まさに平和と繁栄という言葉がふさわしい生活を送っていた。今や国境や大海も意味をなさず、地球連邦政府の緩やかな統治によって理想的かつ革新的な政治が行われていた。人類は世界平和を分かち合い、怒りや憎しみのない新しい時代に突入したことを実感している最中にあった。 あの出来事が起こるまでは。 それは永遠に続くかのような穏やかな日々に、最悪の形で終止符を打つこととなった。かつて聞いたことのない怒号と共に一瞬のうちに現れた巨大宇宙船。一つの大陸を飲み込むほど巨大なその宇宙船は、まるで鳥が卵を産み落とすかのように次々ととてつもなく大きい“黒い塊”を投下していった。着地と共に訪れたマグニチュードでは計りきれないほどの震動。ビルというビルは崩れ落ち、多くの町は燃え上がり、そして多くの人間は地面に入った亀裂に飲み込まれていった。しかしそれは醒めることのない悪夢の始まりでしかなかった。黒い塊は爆発するわけではなく、ただ霧状のガスを発散し始める。そのガスが地球を取り囲んだ瞬間、人類は滅亡した。ガスを浴びた人間の体は無残にも次々に破裂していったのである。その間僅か9分。人類は抵抗どころか、認識することさえ出来なかったであろう。それが宇宙の覇権を握ろうとする異星人サイクロ人の襲撃だったとは。 地球に壊滅的打撃を与えた巨大宇宙船は、その登場と同じように一瞬で姿を消した。宇宙船はとどまる必要がなかった。何故なら、宇宙船は惑星侵略のためだけに作られた無人ガス爆撃機だったからだ。その数分後に現れたのは人類の叡智を結集したいかなる建築をもしのぐ巨大な要塞と、遂に登場した侵略者、サイクロ人であった。 そして彼らの恐るべき支配が始まった…。 JOHN TRAVOLTA ジョン・トラボルタ 主演・製作 1954年、ニュージャージー州生まれ。これまでに、時代を代表するような作品に数多く出演してきたスター。青春ホラーの名作『キャリー』(76)でその存在をアピールし、出世作は70年代後半に世界的なディスコ・ブームを巻き起こした『サタデー・ナイト・フィーバー』(77)。これでいきなりアカデミー賞にノミネートされる。続く『グリース』(78)、『アーバン・カウボーイ』(80)のヒットで人気は沸騰。ブライアン・デ・パルマ監督の『ミッドナトクロス』(81)での名演も、高い評価を得た。 そしてシリーズ化となったコメディ『ベイビー・トーク』などを経て、94年、クエンティン・タランティーノ監督による『パルプ・フィクション』で魅力的なギャングを演じ、爆発的に大ブレイク。アカデミー賞、ゴールデングローブ賞などにノミネートされ、オファーが殺到。今に至るまで絶好調を続けている。『ゲット・ショーティ』(95)では映画産業に乗り出すマフィア役でゴールデングローブ賞男優賞を受賞する。さらに『マイケル』(86)、『フェノミナン』(96)、ジョン・ウー監督の傑作アクション『ブロークン・アロー』(96)と『フェイス/オフ』(97)、『シーズ・ソー・ラヴリー』(97)、『マッド・シティ』(97)『パーフェクト・カップル』(98)『シビル・アクション―民事訴訟―』(99)『将軍の娘/エリザベス・キャンベル』(99)と、会心の演技を連発。本作ではプロデュースも務めた。新作は、ノーラ・エフロン監督のコメディ『Lucky Numbers』と、『60セカンズ』のドミニク・セナ監督によるアクション『Swordfish』。この勢いは、当分とどまることがなさそうだ。 BARRY PEPPER バリー・ペッパー 1970年、カナダのブリティッシュ・コロンビア生まれ。5歳の時から約5年の間、家族とともに南太平洋の島々をヨットで回りながら過ごした。大学卒業後、バンクーバー・アクターズ・スタジオに所属し、カナダの人気TVシリーズ『Madison』で人気を博す。そして98年、スピルバーグ監督による『プライベート・ライアン』(98)でストイックな狙撃兵ジャクソンを演じ、一躍、ハリウッド期待の若手スターとして脚光を浴びる。 99年には、トニー・スコット監督の『エネミー・オブ・アメリカ』と、フランク・ダラボン監督の『グリーンマイル』(00)に出演。特に後者では、心優しい看守ディーンに扮し、繊細な演技が評判を呼んだ。 新作は、デニス・ポッパー、ジョン・マルコヴィッチ共演のギャング・コメディ『Knockaround Guys』。そのほかの出演作に『ファイアーストーム』(97)など。 FOREST WHITAKER フォレスト・ウィテカー 1961年テキサス州生まれ。幅広い役柄で個性を発揮する俳優であるとともに、監督としてもその力を認められる存在だ。88年、初主演となったクリント・イーストウッド監督作『バード』で伝説的サックス奏者、チャーリー・パーカーを演じ、カンヌ映画祭主演男優賞を受賞。『レイジ・イン・ハーレム』(91)では製作も務める。代表作に『クライング・ゲーム』(92)、『ゴースト・ドッグ』(99)など。監督作には『ため息つかせて』(95)、『微笑みをもう一度』(98)などがある。 ROGER CHRISTIAN ロジャー・クリスチャン 美術監督、セット・デコレーター、プロダクション・デザイナー、そして監督としても才能を発揮する彼は、特にSFの分野で着実なキャリアを積んできた。77年、『スター・ウォーズ』のセット・デコレーターでアカデミー賞を受賞。リドリー・スコットの『エイリアン』(89)でも、アカデミー賞美術監督賞にノミネートされた。監督デビューは『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』と同時上映された短編『Black Angel』。82年、SFホラー『ザ・センダー/恐怖の幻想人間』で長編デビューを果たす。その後、『夢翔戦艦スターシップ/亜空間脱出』(85)、『ノストラダムス』(94)、『ファイナルカット』(95)、『アンダーワールド』(96)、『トラブルボーダー』(97)を監督。99年の大ヒット作『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』ではジョージ・ルーカスの指名を受け、第2班監督を担当している。 PATRICK TATOPOULOS パトリック・タトポロス 造形・美術を駆使した特殊効果の第一人者。本作ではプロダクション・デザインからクリーチャーデザイン、コスチュームデザイン、SFXを手がける。イラストレーターを経て、TVシリーズ『スター・トレック ザ・ネクスト・ジェネレーション』で特殊効果を学ぶ。『ラスト・アクション・ヒーロー』(93)、『デモリションマン』(93)、『ジュマンジ』(95)、『セブン』(95)ではコンセプト・デザインにも加わった。ローランド・エメリッヒ監督作『スターゲイト』(94)でコスチュームとフィギュアのデザインを、同監督の『インデペンデンス・デイ』(96)、『GODZILLA/ゴジラ』(98)でもプロダクション・デザイン、フィギュア・デザイン監督を務めている。『スチュアート・リトル』ではスチュアートのロボット・デザイン、『スーパーノヴァ』では特殊メイクと、マルチな才能を発揮している。 PRODUCTION NOTES トラボルタの念願叶う 1982年の初版で原作を読んだジョン・トラボルタにとってこの映画を作る事は長年の悲願だった。SFX技術の進展を受け、MGMのヒットした犯罪小説コメディ『ゲット・ショーティ』(95)に出演した直後、その考えが又強くなった。「トラボルタが、自分の出演しその本を映画化したいと長い間思っていたので、その権利を得ることは簡単で、映画化するには一番の方法だったよ。」とプロデューサーの ジョナサン・クレインは言う。 ルーカスからの電話 突然SF映画の大御所ジョージ・ルーカスから電話があり、トラボルタは感激する。ルーカスは長い間共同製作をしてきたロジャー・クリスチャンを熱心に勧めた。クリスチャンは、オリジナルの『スター・ウォーズ』でも仕事をし、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』の第2ユニット監督もしている。ルーカスは、クリスチャンが「この映画を監督するに相応しい世界でただ1人の人物だ。」と言った。 ロジャー・クリスチャンの描く世界観 ロジャー・クリスチャンに会ってすぐにクレインは、監督は彼以外にいないと確信した。「お金のためだけではなく情熱で映画を作りたいという創造的な仲間をまとめられると彼は言ったよ。演技、性格の深み、物語性は一級品で構成力のある監督なのさ。」クレインはクリスチャンの持っている想像力に驚嘆した。「ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』(77,80,83)で、アーサー・C・クラークが『2001年宇宙の旅』(68)で作った物と同じようにそれは本物の世界だよ。」 天才クリエイター、パトリック・タトポロスの加入 クリスチャンとトラボルタに加え、映画製作者は直ぐにパトリック・タトポロスと契約をした。『GODZILLA/ゴジラ』(98)『インデペンデンス・デイ』(96)でタトポロスは特殊効果の第一人者となった。「パトリックは、本当の天才だよ。」とクレインは感激する。「舞台、衣装、サイクロ人をデザインしたばかりか、自分のお金を製作につぎ込んでまでこの仕事に熱中してくれたのさ。もちろん資金が調達できたときには、お金は返したがね。」 『スター・ウォーズ』クリエイター達の精神の伝承 『スター・ウォーズ』(77,80,83)の精神を引き継いで、クリスチャンとパーソンは、仲間に建物とセットを飾るスクラップを買いにやらせた。「この映画では、できるだけ本物を使いたいし、CGIをあまり使いたくなかったのさ。」とクリスチャンは言う。パーソンが作ったのは機能的なモデル船、様々に荒廃した60棟以上のミニチュアビルの都市、サイクロ人の鉱山基地等、おびただしい量となった。 ITEM 1 サイクロ人 3つの太陽があり紫で彩られた惑星、サイクロ星を母星として16の銀河系、100万以上の惑星を支配下においている宇宙最強の種族。身長は約3メートル、体重は450キロもあり、鉤爪のような手と緑色の目を持つヒューマノイド型の異星人である。 地球を侵略したのは20××年。無人ガス爆撃機をテレポーテーションで地球に送り込み、ガスキャニスターと呼ばれる投下型の兵器で人類を壊滅寸前に追いやった。その間僅か9分であった。ガスキャニスターとはサイクロ星を覆う大気である“呼吸ガス”を圧縮搭載したガス爆弾である(“呼吸ガス”の詳細は明かされていない)。ちなみにサイクロ人は地球を第16銀河系第3惑星と呼んでおり、辺境の惑星と位置付けられている。 2 フェイスマスク 呼吸ガスを圧縮したボンベを装備したカートリッジ式呼吸用マスク。鼻に装着する。サイクロ人は呼吸ガスで生活しているため、酸素の充満している地球ではこの呼吸ガスマスクを装着しなければならない。この呼吸ガスはウラニウムに反応、爆発するという欠点があるため、ウラニウム鉱山のそばには近寄ることが出来ない。また地球人はこのマスクを装着することによって、呼吸ガスで満たされたサイクロ人の要塞でも呼吸することが出来る。これはフェイスマスクが濾過装置の役割を果たしているからである。 3 サイクロ銃 パワーカートリッジを装填し、気絶弾から気化[パボライズ]弾まで自由に調節して撃つことのできるエネルギー銃(“気化[パボライズ]”とは物体を粒子レベルまで分解して再合成が不可能な状態にすることを言う)。この銃はサイクロ人用にデザインされているため、地球人であるジョニーは片手でこの銃を持つことができず、上下逆さまにして使っている。 4 マーク戦闘機 装甲仕様で戦車砲を持ち、出力レバーの調節によって気絶弾から気化[パボライズ]弾まで自由に撃つことができる2人乗りの戦闘機。下部ジェット噴射機能によりホバークラフトのように地上すれすれを飛行することも可能。地球においては主に警備、偵察、奴隷の収容、移送等に用いられ、そのために機体下部に檻状の収納庫を作るなど改良が施されている。 世界社刊「バトルフィールド・アース」より抜粋、編集 |