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「ストーカー」
昭和56年度芸術祭参加作品
ストーカー
アンドレイ・タルコフスキー監督
カラー・モスフィルム作品
日本海映画配給
●この映画は、『惑星ソラリス』でSF映画界に金字塔を建てたアンドレイ・タルコフスキー監督が、ソビエトの著名なSF作家ストルガツキー兄弟(邦訳に「幽霊殺人」「収容所惑星」ほかがある)の「路傍のピクニック」をモチーフにして完成したSF第二作である。80年カンヌ国際映画祭の“フィルム・シュプリーズ(覆面試写)”で初めてヴェールを脱ぐや、“カンヌ上映作品のなかでも最も優れた、注目すべき映画で、形式的にも内容的にも極めて豊か”(ル・モンド紙)と高く評価され、その後ヨーロッパ各地でも公開され、話題を集めている。シナリオは原作者アルカージーとボリスのストルガツキー兄弟の書き下ろしである。
●――何が起ったのか?阻石の落下か、それとも宇宙人の来訪か。この地上に不可思議なゾーンが現出する。そこにはただちに軍隊が派遣されるが、兵士は一人として帰還しない。ゾーンには鉄条網が張られ、誰もそこに踏みこむことは許されない。
だが、ここにゾーンの深奥には人間のあらゆる願望をかなえる“部屋”があると信じ、禁を犯してゾーンに侵入し、白分の望みを実現して幸せになりたいと思う人々を謎の“部屋”にまで案内しようとする者がいる。その案内人はストーカー(密猟者)と呼ばれた。
映画の主人公、ストーカーもそうした案内人の一人、かれは作家と教授を従えて、警戒厳重なゾーンに向ったのである。
ゾーンの状況は刻一刻と変化する。まるで罠のように。そして幾つもの試練に打ち克って“部屋”の前にたどりついた時、はたしてかれらは望みを達して、幸せになれるだろうか・・・。
●ゾーンに踏みこんだ三人の男たちを競演するのは――。
○おのが不幸な運命を切リ開くためにせよ、自らは不思議な掟によって“部屋”の敷居をまたぐことができないストーカー
――舞台歴が長く、映画界でも知的個性派と評判が高いが、なぜかこれまでアクション映画の悪役で人気を集めてきたアレクサンドル・カイダノフスキー。これがタルコフスキー作品への初陣。
○栄光と名声に浴した流行作家でありながら、おのが作品にも才能にも絶望し、新たな霊感を求めて、ゾーンに望みを托そうとする作家
――『ドストエフスキーの生涯の26日』の主演を初め、多彩な役づくりで名優の誉れ高いアナトリー・ソロニーツィン『アンドレイ・ルブリョフ』以来のタルコフスキー監督の秘蔵スター。
○厳格な物理学者で、ゾーンの“部屋”の存在こそかえって不幸の根源と考え、自ら製造した爆弾を隠し持ち、ゾーン爆破を企む教授
――ドラマーから映画俳優の道に専念するきっかけを作ったのがタルコフスキー監督の『僕の村は戦場だった』と云う、ニコライ・グリニコ。以来、タルコフスキー映画に欠かせぬ脇役。
●『ストーカー』には特撮は使われていない。映像そのものが、独得の幻想をかもしだす。ここでは、理解しがたいものは、ありふれた日常的な情景にこそ隠されている。水、火、風になびく草木、降り始めた雨――それらは、タルコフスキーの世界では、人間の心象を映しだす美しい映像言語となって息吹いているのである。
●アンドレイ・タルコフスキー監督はこれまで、卒業制作『ローラーとバイオリン』(61、ニューヨーク国際学生映画コンクール一位)で衆目を集めて以来、『僕の村は戦場だった』(62、ヴェネツィア国際映画祭金賞)『アンドレイ・ルブリョフ』(67、カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞)『惑星ソラリス』(72、カンヌ国際映画祭審査員特別賞)、そして『鏡』(75)と、次々に話題作を発表してきた。そして常に、現代という時代や現代に生きる人々が内包するさまざまな問題に芸術家としての深く真撃な思索を重ねながら、映像作家としてのきらめくような多面的な才能をスクリーンに自由に飛翔きせ、独得の映像世界を展開させてきた。最新作『ストーカー』は、この監督の集大成とも云うべき作品である。80年にはイタリーで、これら一連の作品に対し“ダヴィド・ドナテロ”賞が授与された。
CTANKEP
<スタッフ>
製作‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥モスフィルム
脚本‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥アルカージー・ストルガツキー
ボリス・ストルガツキー
監督‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥アンドレイ・タルコフスキー
撮影‥‥‥‥‥‥‥‥アレクサンドル・クニャジンスキー
音楽‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥エドゥアルド・アルテミエフ
美術‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥アンドレイ・タルコフスキー
<キャスト>
ストーカー‥‥‥‥‥アレクサンドル・カイダノフスキー
ストーカーの妻‥‥‥‥‥‥‥アリーサ・フレインドリフ
作家‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥アナトリー・ソロニーツィン
教授‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ニコライ・グリニコ
挿入されている詩‥‥‥‥‥‥フヨードル・チュッチェフ
アルセニー・タルコフスキー
(上映時間/2時問40分)
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