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「ヒドゥン」


ヒドゥン

         ■スタッフ■
製作・・・・・・・・・・・・・・ロバート・シェイ
              マイケル・メルツァー
            ジェラルド・T・オルセン
監督・・・・・・・・・・・・ジャック・ショルダー
脚本・・・・・・・・・・・・・・・・ボブ・ハント
撮影・・・・・・・・・・・・ジャック・ヘイトキン
SFX・・・・・・・・・・・・ケビン・イエーガー
音楽・・・・・・・・・・・マイケル・コンバーチノ
編集・・・・・・・・・・・・・・・マイケル・ヌー
製作総指揮・・・・・・・・スティーブン・ダイナー
                 リー・ミュール
                 デニス・ハリス
              ジェフリー・クライン

         ■キャスト■
トム・ベック・・・・・・・・・マイケル・ヌーリー
ロイド・ギャラガー・・・・・カイル・マクラクラン
クリフ・ウィリス・・・・・・・・・・エド・オロス
エド・フリン・・・・・・・・・・クリュ・ガラガー
ブレンダ・リー・・・・クラウディア・クリスチャン
ジョン・マスターソン・・・クラレンス・フェルダー
ジョナサン・ミラー・・・・ウイリアム・ボイエット
サンチェ・・・・・・・・・リチャード・ブルックス
ブレム・・・・・・・・・・・・・・ラリー・セダー
ホルト・・・・・・・・・・・・ジョン・マッキャン
ジャック・デブリース・・・・・・クリス・マルキー
バーバラ・ベック・・・・・・キャサリン・キャノン

          解  説
「ヒドゥン」はSF、ホラー、サスペンス、さらにユーモアとヒューマン・ドラマが渾然一体となった痛快作だ。
 舞台は原題のロサンジェルス。ごく普通の人間が突如狂気に満ちた人間と化し壮絶な事件を引き起こす一件をLAPD(ロサンジェルス市警)の刑事が追う。彼の前に現われるこうした事件を追い続けてきたFBI捜査官。2人は次々と姿を変えていく凶悪犯、実はエイリアンに体を乗っとられた人間を追う。そして、LAPDの刑事はFBI捜査官も別の宇宙人に乗り移られていることを知るのだった。
 ドラマは巻頭の銀行強盗からスピーディに展開する。カー・チェイスがあり、激しい銃撃戦があって、病院に収容された犯人の口から謎の生き物が吐き出され、口から口へと他人に乗り移るのをみる。乗り移ったエイリアンはヘビメタとフェラーリが大好き。警官の攻撃を受け、体がズタズタになるたびに、それは他の者に乗り移る。
 それを追うFBI捜査官は酒も知らず、消化薬の使い方も知らない男。というのも宇宙人が乗り移っているわけで、ただひたすら凶悪なエイリアンを追うのだ。
 悪のエイリアンは次々と宿主をかえ、ついには大統領になろうという議員に乗り移り、世界を支配しようとする。良いエイリアンはそれを止められるのか?
 刑事アクションのように始まり、SFホラーのように展開、ユーモラスなショットを混じえながら、劇的なクライマックスを迎える。「遊星からの物体X」を「リーサル・ウェポン」風の刑事が追うが、その一人は「クリッター」のバウンティー・ハンター風であった。至ってパワフル、謎を残しながらノン・ストップ・アクションする本作は、ファンタスティック映画のメッカ、アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭'88(第16回)でグランプリに輝いた秀作だ。
 脚本はボブ・ハント。ところが、それ自体が名脚本家の隠れた名前だった。ハントは実は、昨年アメリカで大ヒット、今年日本公開された「張り込み」の製作・脚本を担当したジム・カウフなのだ。自身SF映画ファンだったカウフは、コメディの脚本を書く一方、モンスター映画「ザ・ブーゲンズ」(81、未)の脚本に参加した。そのとき使ったペン・ネームがボブ・ハント。いわばSF・ホラーのジャンル・フィルム専用の名前というわけだ。なお、ハントの名は彼が脚本を書いたカナダ映画「ユーティリティーズ」(81、未)のメイン・キャラクターの名前から取ったという。
 ハント=カウフの「普通の物語に普通ではないヒネリを加え、観客が見たことのない映画を送り出したかった」という脚本を得て、監督に当たったのが「エルム街の悪夢2/フレディの逆襲」(86)のジャック・ショルダー。
 自身、脚本家であるショルダーは「これまで読んだ脚本では最高」と語り、乗りに乗って演出した。なにしろ一度は第2班で撮影した冒頭のカー・チェイスを自身で取り直す力の入れよう。ショルダーは本作品を“ファンタジー・スリラー”と位置づける。悪いエイリアンが人間のダーク・サイドを徹底的に具体化、その一方、良いエイリアンは彼とパートナーとなる人間から正しい人間のありようを学び、悪を滅ぼそうとする。ショルダーはこの構図を力技ともいえるパワーで演出し、なおかつ、「どうしてもコメディ的要素が入ってしまう」というハントの脚本どおりにほのかなユーモアで味つけしたのだった。
 「エルム街の悪夢2」で売り出したショルダーはグロテスクな乗っとりシーンにも力を入れる。その期待に応えて、ダミーヘッドの口から異形のエイリアンを吐き出させたのは「エルム街の悪夢2」「同3」でめきめき頭角を現す25歳の特殊メイク・アーチスト、ケビン・イエーガーだ。イエーガーは「コクーン」「13日の金曜日完結編」TV「V」にもクレジットされている。
 製作は「エルム街の悪夢」シリーズ、「クリッター」をヒットさせたニュー・ライン・シネマの社長ロバート・シェイほかジェラルド・T・オルセン、マイケル・メルツァー。撮影は「エルム街の悪夢」(85)、「マイ・デモン・ラバー」(87、未)のジャック・ヘイトキンが担当した。
 出演はLAPD刑事ベックに「フラッシュダンス」(83)のマイケル・ヌーリー、FBI捜査官ギャラガーに「砂の惑星」(84)、「ブルー・ベルベット」(86)のカイル・マクラクランが扮するほか、「コットンクラブ」のエド・オロス、「バタリアン」のクリュ・ガラガー、「殺したい女」のクラレンス・フェルダー、「禁断の惑星」のウイリアム・ボイエットが脇を固める。ストリッパー、ブレンダ役にはTVで活躍する21歳のクラウディア・クリスチャンが扮し、スクリーン・デビューを果たしている。
 なお本作品はリンカーン・ハイツ、メルローズ通り、ラス・パルマス通りなど、ロサンジェルス市内各地で撮影された。


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