チラシB面全文データ
「吸血鬼」
パナビジョン・メトロカラー
吸血鬼
THE FEARLESS VAMPIRE KILLERS
スタッフ
製 作‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ジーン・グトウスキー
監 督‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ロマン・ポランスキー
脚 本‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ジェラード・ブラック
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ロマン・ポランスキー
撮 影‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ダグラス・スロクーム
音 楽‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥リシトフ・コメダ
美術監督‥‥‥‥‥‥‥ウィルフレッド・シングルトン
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥フレッド・カーター
衣裳デザイナー‥‥‥‥‥‥‥‥‥ソフィー・デバイン
編 集‥‥‥‥‥‥‥‥アリステア・マッキンタイア
キャスト
アブロンシウス教授‥‥‥‥‥ジャック・マッゴーラン
サ ラ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥シャロン・テイト
シャガル‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥アルフィー・バス
クロロック伯爵‥‥‥‥‥‥‥‥‥ファーディ・メイン
クーコル‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥テリー・ダウンズ
アルフレッド‥‥‥‥‥‥‥‥‥ロマン・ポランスキー
レベッカ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ジェシー・ロビンズ
マグダ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥フィオナ・ルイス
ハーバード‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥イアン・カリエ
かいせつ
バンパイア(吸血鬼)は、夜になると棺から抜け出て、人間の生き血、ことに若い女の生き血を吸う死霊で、その犠性者もバンパイアとなる。彼らは十字架には無力で、にんにくのにおいを嫌い、また太陽光線にあうと魔力を失う。広くスラブ系民族の問で信じられて来た迷信で、今でもそれが残っているという。
映画は、バンパイアの心蔵に十字架の杭を打ち込んで迷っている魂を救い、またしゃばの人間をバンパイアの恐怖から救おうとする教授と助手の冒険旅行の物語りである。彼らはルーマニア西部ペンシルバニア地方で、目指すバンパイアにめぐりあい、その根城に押入って、彼らと対決するが、「ローズマリーの赤ちゃん」のロマン・ポランスキー監督は、ショッキングなこわさや肌寒さに薄気昧悪さを加えて、独特な怪談物に仕上げており、彼の鬼才振りを存分に楽しむことができる。
脚本は、ポランスキー監督と、「反撥」でも彼と協力したジェラード・ブラックとの共作オリジナルである。
撮影は「空から赤いバラ」「召使」などのダグラス・スロクームか担当、イタリア北部のドロミテ・アルプスでロケされた。音楽は「水の中のナイフ」「花弁が濡れるとき」などのポーランドの作曲家リシトフ・コメダが作曲した。
出演者では、バンパイア狩りの教授に扮するのが、「トム・ジョーンズの華麗な冒険」「静かなる男」などのジャック・マッゴーラン、教授の忠実な助手をポランスキー監督自身が演じるほか、「哀愁の花びら」「サンタモニカの週末」などのシャロン・テイト、「アルフィー」「ローマで起った奇妙な出来事」などのアルフィー・バス、「女の香り」のファーディ・メインミドルウェイト級(ボクシング)世界チャンピオンだったテリー・ダウンズらが重要な役を演じている。
製作担当のジーン・グトウスキーは、「反撥」でもポランスキー監督と組んだ新進製作者である。一九六七年度、フィルムウェイズ・カドレ合作のバナビジョン・メトロカラー作品。
(一二巻 一時間四八分)
あらすじ
アブロンシウス教授(ジャック・マッゴーラン)は、助手のアルフレッド(ロマン・ポランスキー)をつれて、バンパイア退治の旅を続けていた。彼らの武器は、十字架のついた小さな杭と木づちだ。バンパイアを見つけ出し、眠っているうちにこの杭を心蔵に打ち込んで彼らの魔性を取り除き、土地の人々を恐怖から救い出す。これが教授の目的だった。
彼らが、バンパイアを捜し回って、トランシルバニア(ルーマニア西部)の片田舎にたどり着いたのは、雪深い冬の日だった。路傍の宿に入った時、教授はにわかに元気づいた。にんにくの大束が天井から幾つもぶら下がっていたからだ。これこそ、土地の人々がバンパイアに脅えている証拠だった。それは、陽気な宿屋の主人シャガル(アルフィー・バス)がにんにくのことで質問された時、急におろおろしだしたことでも明かだった。
その夜、皆が寝静まってから、教授と助手のアルフレッドは、前の廊下を忍び足で通って行くシャガルを見つけ、そのあとをそっとつけた。
シャガルの女房レベッカ(ジェシー・ロビンズ)も、ふと目を覚ますと、ベッドが半分からになっているので、「さては亭主野郎め!」と、大きなサラミ・ソーセージを握りしめ、夫の跡を追った。行く先は、女中マグダ(フィオナ・ルイス)の屋根裏部屋に違いないと、女房はカッカしていた。
ところが、ベッドにマグダが一人で寝ているのを見て、レベッカが引き下がって来ると、屋根裏に通じる狭い階段の上に現われた頭。「やっばり!」とばかり、ソーセージでボイン。頭をかかえたのは何んと教授!女房が大慌てに慌てているすきに、亭主はマグダの部屋から無事逃げのびた。
翌朝、薄気味悪いせむし男クーコル(テリー・ダウンズ)が、宿屋ヘローソクを買いにやって来た。教授はアルフレッドに彼をつけさせた。ソリは雪の中を弾丸のように突っ走り、アルフレッドは必死にしがみついていた。森の奥深くで、せむし男は、ソリをとめると、一匹の狼を追いかけた。やがて戻って来た彼の口から、真赤な血がしたたっている。一瞬、アルフレッドは血も凍る思いだった。
宿に戻った助手は、その夜もショックを受けた。この家の美しい娘サラ(シャロン・テイト)の入浴を、鍵穴からのぞくと、娘は赤いマントの男とこそこそ語り合っている。突然こちらを振り向いた男の顔。牙もあらわな、まさしくバンパイアの形相だった。男は間もなく天井窓から消えて行ったが、浴槽の湯は真赤に染まっていた。
シャガルやレベッカの嘆きはひと通りでなかったが、そのシャガルもまたバンパイアの毒牙にかかってしまった。教授は、十字架の杭を心臓に打ち込んで、シャガルの魂を救おうとしたが、亭主はこれをいやがって暴れ回り、魔性を現わして女中マグダののどに牙を立てた後、家から逃げ出した。その跡を追った教授と助手は、ついにバンパイアの本拠クロロック城を発見した。
そこで彼らは、城主のクロロック伯爵(ファーディ・メイン)や柔弱な息子ハーバート(イアン・カリエ)に会ったが、伯爵は、浴室でサラを襲った時の空恐ろしい形相とうって変わり、一分のすきもないスマートな紳士だった。
アブロンシウス教授とアルフレッドは、その夜は城に泊った。そして、雪の上の足跡をたどって墓守りのせむし男に追いつき、墓地へ通じる道を発見した。その墓地に眠るバンパイアたちの胸に、十字架の杭を打ち込もうと苦心さんたんしたが、思わぬ事から失敗した。
彼らは、また、城中で宿屋の娘サラに出会った。彼女から真夜中に大舞踏会が開かれることを聞き、変装して会場に紛れ込んだ。
バンパイアの大舞踏会。それは優雅な、空恐ろしい光景だった。教授と助手は、勇気を振るいおこし、いろいろ知恵をしぽって、サラを城外へつれ出した。
だが、城から森を抜けて村に帰るソリの中で、全く思いがけないショッキングな事件に出会った。
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