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「時計じかけのオレンジ」
1979年リバイバル公開時配布版
スタンリー・キューブリック作品
時計じかけのオレンジ
Stanley Kubrick's A CLOCKWORK ORANGE
■解説
現在もなお、話題作「シャイニング」に取りくんで注目を集めている鬼才スタンリー・キューブリック監督が、シネラマ芸術の最高峰といわれ轟然たる反響を呼んで全世界的に大ヒットを放った「2001年宇宙の旅」いらい三年ぶりに発表したのが、この「時計じかけのオレンジ」である。
この作品でも、レープ(強姦)とウルトラ暴力とベートーベンだけが生きがいの若者のアドベンチャー、という驚くべき題材に取りくんで独特のキューブリック的世界をくりひろげている。
イギリスの作家アンソニー・バージェスの同名小説に基づいて、キューブリック自身が脚本を執筆、製作・監督にあたっており、その痛烈な映像芸術が、全世界に華々しい話題をまいた映画史上空前の問題作である。
主人公の少年アレックスを演じているのが、「if もしも・・・」の主演で一躍脚光を浴びたマルコム・マクドウェル。ほかに「召使」「クロムウェル」「マラー/サド」などにも出演しているアイルランド生れの名優パトリック・マギー、さらにアドリエンヌ・コリ、ミリアム・カーリンなどイギリスの名女優が熱演している。
キューブリックの作品は10年先を行くと絶賛されている理由はこの傑作でわかるはずである。
(上映時間 2時間15分)
■ストーリー(スクリーンより)
いまから十数年後の未来社会。秩序は乱れ、治安状態は悪化し、性道徳は退廃の極にあった。そして町には夜な夜な少年ギャングの群が横行していた。
これは、そんな少年のひとり、強姦と超暴力とベートーベンだけに生きがいを求める若者の物語・・・。
15才の少年アレックス(マルコム・マクドウェル)を首領とする4人の非行少年グループは、その夜もなじみの“ミルク・バー”に集まって、夜の町に出かけていった。
やがて、ひとりの酔っぱらいの老人を取りかこんだアレックス一味は、ステッキをふりまわし、したい放題の暴力をふるって、無抵抗の老人を半死半生の目にあわせた。
さらに荒れ果てたホールに乗りこんで、ひとりの女性を暴行しようとしている仇敵のグループと大乱闘のあげく、パトカーのサイレンの響きをきいて、敵も味方も四散した。
そのあと、血気さかんなアレックス一味はスポーツカーを駆って郊外の一軒家を襲った。その邸宅には小説家(パトリック・マギー)と若い奥さんのふたりが住んでいたが、凄まじい乱暴狼籍の果て、アレックスは小説家の目の前で鼻歌まじりに奥さんを犯すのであった。
そんな或る日アレックスは独り暮しの婦人を殺し、仲間の裏切りで警察に逮捕されてしまった。
アレックスは模範囚となった。そして、政府が着手した人格矯正療法の実験材料第一号となった。それは犯罪者に特殊な覚醒剤を注射して衝撃的な映画を見せ、生理的に暴力やセックスが耐えられないような体質に改造してしまうものであった。連日にわたる治療の結果、実験は成功。アレックスはおとなしい無害な人間として釈放された。
親から見放され町をさまよっているとき、ふたりの警官に捕まった。なんと昔の仲間が警官になっていた。ふたりに袋叩きにあった無力のアレックスは、一軒の田舎家にたどりついたが、それはあの小説家の屋敷であった。反政府運動のリーダーである小説家は、アレックスを利用して私怨をはらすと共に政府打倒を目ざした。そのためアレックスは自殺をはかるが辛うじて一命をとりとめた。小説家一派は逮捕されたが、失脚を恐れた内務大臣はアレックスを元どおりの人間に戻すと発表。アレックスはセックスと暴力とベートーベンに再び喜びを見出し、『オレは完全に治った』と叫ぶのだった。
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