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「バーバレラ」
1993年リバイバル公開時配布版

バーバレラ
主演:ジェーン・フォンダ/製作:ディノ・デ・ラウレンティス/原作:ジャン・クロード・フォレストのフレンチ・コミックス『バーバレラ』による/脚本:テリー・サザーン/監督:ロジェ・ヴァディム
パラマウント映画/1967年度作品/アメリカ・フランス・イタリア合作映画/カラー/シネマスコープ/上映時間1時間38分/配給:日本ヘラルド映画

バーバレラ。無垢で無邪気で野蛮(バーバリアン)な宇宙時代のセクシーな女戦士。政治の女闘士になる前のジェーン・フォンダのハリウッドで創り上げられたバービー人形のように人工的な肉体は、軽やかにコミックのキャラクターと同化している。―岡崎京子(漫画家)

エッチもここまで行けば、いや視覚的な欲望をここまで徹底できるってことは偉いですよ。この「バーバレラ」の徹底した美意識ってのは、もうオーソン・ウェルズとか溝口健二の域に達しているんじゃないですか?―小西康陽(ピチカート・ファイヴ)

セックス&ファンタジー&ロック&ロール!
 西暦4万年(!)の未来。セクシー・ダイナマイトな宇宙飛行士バーバレラ(ジェーン・フォンダ)はニュー・キャプリ金星に向かうスペース・シップの中で、無重力遊泳を楽しんでいました。そこへバカンスを邪魔する地球の大統領からのTV電話。「地球から姿を消したデュラン・デュランを発見しなさい!」というのが、バーバレラに与えられた秘密指令でした。デュラン・デュランとは、地球壊滅の凶器ともなる“宇宙破壊光線”を発明したまま行方をくらました、恐るべきマッド・サイエンティストなのであります。
 地球の未来は、今やバーバレラの活躍にかかっているのです。
 進路を変えたスペース・シップが磁気嵐に襲われ、バーバレラはリテオン惑星に不時着。ところが、この惑星はいまだかつてない奇っ怪なところでした。脱出したバーバレラは、訳も分からず双子のブロンド美少女ストマクシシー&グラシナに拉致され、美しい人形たちによる拷問を受けることに!金属製の鋭い歯によって、衣服が引き裂かれ、白い肌が鮮血に染まろうとした刹那、マッチョな髭男マーク・ハンド(ウーゴ・トニヤッツィ)が現れ、バーバレラを助け出してくれました。
 でも、この命の恩人はなんとバーバレラに“オールド・スタイル”で愛を求めてきたのです。西暦4万年の未来では、錠剤を服用しお互いの手と手を合わせて性的エクスタシーを得る“ニュー・スタイル”がトレンディなのに・・・。
 初めての“オールド・スタイル”のお相手に後ろ髪を引かれながらも、バーバレラは任務のために、3千フィート地下にあるソゴの町へ向かいます。
 ソゴの町は大混乱していました。暴君・黒の女王たちと、彼女の圧制に苦しむ人々、そして黒の女王政府を倒そうとする革命派グループ。バーバレラは、黒の女王に盲目にされ飛ぶ力も奪われた天使パイガー(ジョン・フィリップ・ロー)をお供に、デュラン・デュランを探しに行きますが、逆に捕らわれの身になってしまいます。
 黒の女王による容赦ない鳥篭の拷問。バーバレラは無数の獰猛な鳥たちに襲われ悶え苦しみます。あやうし!バーバレラ。彼女は無事デュラン・デュランを探し出すことができるのでしょうか?そして、地球の未来は?

バーバレラの逆襲
 フランスでベストセラーとなって、世界全国に大反響を呼びおこした、ジャン・クロード・フォレストのSFエロティック劇画『バーバレラ』の、デラックスな映画化で、怪奇と幻想エロティシズムを織りまぜた大人のための華麗なSFおとぎ話である。監督のロジェ・ヴァディムと主演のジェーン・フォンダ夫婦は「獲物の分け前」に次ぐ夫婦コンビの作品で話題をふりまいている。ヴァディム監督は「バーバレラ」こそ真に未来の、世界の人間の風俗と愛を生々しく具現させたものだと語っている。
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 以上は、68年、日本で封切られた時のプレス・キットからの引用です。この映画の解説として今でも基本的に通用するものですが、ここでは25年(四半世紀!)の歳月が「バーバレラ」をどう大きくしたか?をチェックしていきたいと思います。
 まず、その後のジェーン・フォンダの変貌ぶりを頭に入れて観ると、ヴァディムに「ありがとう!」言いたくなります。「ジュリア」や「おかしな泥棒ディック&ジェーン」の彼女も捨てがたいのですが、女性のその年齢でしか出せないプリティな魅力をよくぞフィルムに定着したなあ、とため息が出るほどです。ヴェディムのテクは、荒木経惟に優るとも劣らないのではないでしょうか?
 そして、「ブレードランナー」がその後の僕たちの未来のイメージに大きく影響を与えたのと同じように、「バーバレラ」はセクシー・ダイナマイトなコスチュームの元ネタとして、繰り返し繰り返しパクられ続けてきています。最近で言えば、マドンナ&ゴルチェから『スキスキスー』の細川ふみえちゃんまで!
 さらに、これは優れたクリエイティヴが無意識のうちに持っている力なのですが、AIDS時代を予見するような体液を交わさないセックス。必然性のある偶然ってやつ?ちょいと前までニューヨークのクラブで流行っていたエクスタシーという名の錠剤の存在もありましたね。
 というわけで、「バーバレラ」は決して「市民ケーン」や「七人の侍」のような輝かしきベスト10に入る映画ではありませんが、裏ベスト10ではいい成績を上げそうな作品であります。事実、「バーバレラ」が、ビデオデッキやレーザー・ディスク・プレーヤーを買うやいなや、揃えた最初のソフトという人を僕は何人も知っています。そう、「バーバレラ」は所有したくなる映画なのです。そして、「バーバレラ」を自分のものにしたいと願うような熱狂的なファンほど、あの無重力ストリップのタイトル・バックをもう一度大きなスクリーンで観てみたい!と夢想していたはずなのです。
 追伸。ロジェ・ヴァディムが、シェリリン・フェン(『ツイン・ピークス』のオードリー)で「バーバレラ」のリメイクを撮る噂が流れてきました。93年は、新・旧「バーバレラ」の2本立てを拝めることができるのでしょうか?
                    川勝正幸(エディター)


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