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「AKIRA アキラ」
■物語
1988年7月、開東地区に新型爆弾が使用され、第三次世界大戦が勃発した。そして31年一東京湾上に構築されたメガロポリス=ネオ東京は、翌年にオリンピック開催を控え、かつての繁栄を取り戻しつつあった。
2O19年のある夜、ネオ東京郊外の閉鎖された高速道路に侵入するバイクの一団があった。健康優良不良少年、金田をリーダーとする職業訓練高校の生徒達だ。一団は無人のはずの路上で掌に26と記す奇妙な小男と遭遇、先頭を行く島鉄雄は転倒、負傷する。この26号=タカシは、アーミーと対立するゲリラが求める最高機密=アキラとまちがわれ、軍事基地にあるラボ(研究所)から連れ出され、アーミーに追われていたのだ。あっけにとられる金田達の眼前に突如軍用ヘリが降りて来て、26号と同じようなしわだらけの子供27号=マサルの乗るカプセルと大佐が降りて来て、26号と倒れた鉄雄をヘリに収容し、飛び去った。
翌日、警官に取調べを受けた金田達は美少女ゲリラ、ケイと知り合う。彼女も「アキラ」を追っていた。その頃、鉄雄が運び込まれたラボでは大佐が鉄雄の脳波に関する報告を受けており、鉄雄が魅力ある研究の素材であることが告げられる。強力なクスリの連続投与により、鉄雄はタカシがもつのに似た不思議な力に覚醒し始め、看護婦を襲ってラボを飛び出した。
夜の街を爆走する鉄雄は暴走族クラウンの襲撃にあうが、駆けつけた金田の一隊に救われる。逃げ遅れたクラウンの一員を半殺しにし、制止する金田に「俺に命令すんなア!」と凄む鉄雄の体から、凄まじいエネルギー波が放電された。「アキラ一ッ!?」と叫ぶ鉄雄の姿に驚天する金田たち。鉄雄の内部で何かが変わりつつあった。
ネオ東京市街ではゲリラとアーミーの銃撃戦が始まり、各所で火災が発生、大混乱となる。ゲリラの主導者根津、新興宗教団体の教祖ミヤコ様は、ネオ東京の崩壊と「アキラ」の覚醒を予言していた。金田は銃撃戦からケイを救い、ケイの仲間の竜らが住むアジトヘ向かった。
一方、鉄雄が連れ戻されたラボでは深刻な事態が発生していた。ラボの奥深く存在する異様なベビールームを訪れた大佐に、夕カシとマサルの仲間のキヨコ(25号)が恐ろしい予言をしたのだ。
「アキラくんが…恐い夢を見たの。人がいっぱい死んで、街が懐れて…。」
狼狽した大佐はアキラの眠りを確かめに秘密基地へ飛んだ。アキラは基地の地下深く、デュワー壁に囲まれた絶対零度の世界で眠り続けている―不安な予感にかられて大佐は緊急会議を招集、アキラの目覚めが生む国家的規模の災厄に対処すべく、莫大な予算を要求する。
ゲリラと合流した金田は鉄雄を取り戻すべく、下水道から墓地へ潜入。ケイと共にラボのアーミーと一戦を交じえ、一大アクションシーンが展開する。目ざすは鉄雄のいるベビールーム!
いまや想像を超えるパワーに覚醒しつつある鉄雄は、意識の中に現われては消える「アキラ」の存在に苛だち、狂暴な力でキヨコ達を屈服させると共に、居あわせた大佐に激しくアキラの居所を詰問する。
キヨコ、タカシ、マサルは鉄雄の存在に危機感を抱き、行動を開始した。ベビールームからのコントロールでケイを動かし、アキラの眠るカプセルヘ向かう鉄雄を襲わせるが、炸裂するエネルギー波の中、アキラのカプセルがまわりのケーブルを引きちぎりながら浮上した!
アキラは目覚めたのか!?大佐はネオ東京を守るため、鉄雄もろともアキラを葬り去ろうとSOLを発射。そして金田と鉄雄の最後の戦いが始まった!結末に向けてドラマは意外な展開を見せてゆく……。
未体験の刺激!
スペクタクルとカタルシスヘの挑戦
■解説
あの「アキラ」が遂に映画化される!連載開始直後から話題を呼び、単行本が発売されるや人気は爆発、300万部を突破するベストセラーとなった「アキラ」。脚本・監督とも原作者である大友克洋が担当する。'83SF大賞を受賞した「童夢」、映画「迷宮物語」等で今や日本のコミック・アニメ界を背負う鬼才である。
最高機密「アキラ」を中心として、現代の政治と宗教が入り組んで抗争し、それに若者たちのエネルギーが炸烈し、スケールはますます大きくなってゆく。予測不可能なストーリー展開はもちろん、細密画のように綿密に描きこまれた各カット、息つく間もないスピーディーなアクションシーンは圧巻。そして映画のテーマである、破壌のあとの"再生"への願い――「アキラ」は壮大なSFアニメであると同時に、熱いヒューマン・ドラマでもあるのだ。
この映画は8社による共同製作で、製作費はアニメ史上最高の10億円、使用するセル枚数は破格の15万枚!いかにこの「アキラ」が大プロジェクトかおわかり戴けただろう。
映画は原作のダイジェスト版ではなく、新ストーリーである。絵コンテ、脚本、監督、と1人何役もこなす監督は、フィルムアップ前にセリフを録音するプレスコ方式を採用し、動きのリアルさを追究するなど、映画への意気ごみは凄い。
最後に大友監督からのメッセージ!
「現実の向こうには宇宙の彼方にも続く世界が拡がっているのです。より大きなスペクタクルとカタルシスに挑戦してみたい。」
公開までしばし待て!
●スタッフ
原作・監督■大友克洋
(講談社・ヤングマガジン連載)
製作■アキラ製作委員会
(講談社・毎日放送・バンダイ・博報堂・東宝・レーザーディスク・住友商事・東京ムービー新社)
脚本■大友克洋
橋本以蔵
作曲・指揮■山城祥二
キャラクターデザイン■大友克洋
作画監督■なかむらたかし
作画監督補■森本晃司
美術■水谷利春
音楽■芸能山城組
音響■明日川 進
録音■瀬川徹夫
撮影■三沢勝治
編集■瀬山武司
アニメーション制作■
東京ムービー新社
配給■東宝
●声の出演
金田■岩田光央
鉄雄■佐々木望
ケイ■小山茉美
大佐■石田太郎
竜■玄田哲章
ドクター■鈴木瑞穂
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