星乱拳客伝 外伝 鋼の記憶 2007年新春スペシャル

星乱拳客伝 外伝 鋼の記憶 2007年新春スペシャル



承の起章

それは言うまでもなく『櫃(ヒツ)』だった。
しかし。。。
「小せぇだろう?」
「だろ?」
以前、来たことのある公園横の『アジト』に移動していた。
破壊されたシャッター。。。というか壁。。。は修復されている。
「だな」
いつの間にかナオさん・・・じゃなくてサエのペースにハマっているのは気にしない。
「とりあえず組んでみてくれ」
「みてくれ」
百聞は一見にしかず、やってみりゃ解るってな。
バリバリっ
(ん?)
違和感。。。というか奇妙な感じがする。
コイツが嫌がってるってことはないんだろうが、正直なところ扱いにくい。
バリバリバリバリっ
それでもなんとか組み終わり立ち上がったその姿はやっぱり。。。異形だった。
頭部にはコブのような角、レンより短目の頭髪、左右の肩には赤い犬が一匹づつ。
「ほう、こう組み上げたか」
「あげたか」
レンより若干小さめで、上体は酷く前傾している。
何かの動画で見たことのあるゴリラに似ていなくもない。
それよりも気になるのは各部のパーツの噛み合わせが甘いってことと、そのパーツ自体が薄いってことだ。
これじゃ危なくて使えやしねぇ。
「ご不満なようだな」
「ようだな」
顔に出ちまうのは止められない。
「わりぃがこいつは使えねぇぞ」
俺の言葉に怒り出すかと思ったら、笑みを深めて、
「このままじゃな」
「じゃな」
ナオさんとサエは言った。



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