星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第7巻



結の承章

スーハー スーハー
実際の宇宙空間では、映画のようにピキュンとかギュワーンとかいう音はしない。
自分の息と、宇宙服の微かな動作音だけだ。
スーハー
急接近する2体のビルドアームを捕らえながら自分の呼吸を意識する。
意識しないレベルで呼吸のコントロールができないと闘うどころじゃない。
スーハー スッ
突っ込んできたバターナイフの初撃を避け後続のビルドアームに組み付く。
背中でビルドアーム同士の激突を感じながら、さっきと同じように頭部を破壊した。
振り返ると、胸部のコクピットを全開ににしたビルドアームのパイロットが何かを指示している。
最初の奴が隊長ってとこか。
指示を理解したのか無傷の1体がこっちに向かってバターナイフの投擲態勢に入った。
こっちに推進装置がないのがバレたか。。。
飛翔するバターナイフを頭部が破損したビルドアームで受ける。
(ちっ)
ガツンと食い込んだ長槍は慣性の法則を実演しつつビルドアームに新たな運動ベクトルを与えた。
だんっ
と、俺はビルドアームを踏み台にして残る2体のほうへ向かう。
更に新たな運動ベクトルで加速を得たビルドアームが虚空へ消えた。
わりぃ。。。死にゃしねぇだろう。
残った2体が、ぱっとバラける。
いや、コクピットを全開にしていた隊長さんが、まだモタモタしてる。
チャンス。
ガツンと組み付いて、閉じかけたコクピットをこじ開けると、中で隊長さんがバタバタしていた。
何してやがる。。。
と、不意にビルドアームが動いた。
シャトルから遠ざかろうとしている隊長さんのビルドアームから後方を確認すると、残りの1体がシャトルへ向かう姿が見えた。
(テメェこの野郎)
閉じかけたコクピットをギシャンと踏みつけると、シャトルの方へとんぼ返りする。
隊長さんがどうなったかは、知ったこっちゃねぇ。
シャトルが。。。ヤバイ



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