星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−
承の結章
その青い目の客室乗務員は優秀だった。
「少々お待ちください」
旧時代的な内線電話をつかむとなにやら話している。
「失礼ですが。。。」
電話口を押さえながら、視線をこっちに向けたジェシカ。
「グランツの知り合いだ」
オレが、そう言うと、
ジェシカは受話器の向こうへ情報を伝達した。
「わかりました」
受話器を戻したジェシカは、こちらへどうぞと優美な指先を揃えて更に後方を示した。
俺、ハル、ジェシカの3人は後部デッキへ移動した。
「後部デッキは緊急時に外部連絡用のエアロックとして使用できるように設計されています」
少し硬い表情で、俺たちに説明するジェシカ。
「あくまでも緊急用ですので、宇宙服は二着のみ用意されています」
壁のコンポーネントを空けると吊るされたオレンジ色の人型が現れた。
「ユニセックスのS〜LLサイズまで手足の調整リングで調整可能です」
「ようするに蛇腹ですね」
この状況でこの笑顔、たいした度胸だ、
「で、どちらがお使いになりますか?」
青い目の客室乗務員は、オレンジ色の人型を手ににこやかに微笑んだ。
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