星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−
承の転章
「いくぞハル」
隣の馬鹿の頭を叩くとシャトル後部へと向かった。
俺の知ってる限りじゃ、遠くに見えたビルドアームは味方のものじゃない。
たとえ味方の同型機であっても、手にした得物は鎮圧を完了しているシャトルへ向かう為のものじゃなさそうだ。
最後部のSTAFFONLYと書かれている扉をノックと同時に空けると、客室乗務員がタオルを頭に当てていた。
どさくさの最中にどこかにぶつけたのだろう。
「なにかごようでしょうか?」
この状況で立派な笑顔だ。
「すまないねジェシカ」
胸の名札をちらりと見て俺は続けた。
「ちょっと外へ出る用事があるんだが、非常用の宇宙服を2つばかし貸してもらえないか?」
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