星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第6巻



追の追章

警察がやってきたのは、『歩ヒョウ』を『ヒツ』に戻したすぐ後だった。
俺達はそれから何度か事情徴収を受けることになった。
謎の『歩ヒョウ』の事を除いて俺達はあったことを素直に話した。
かなり怪しい目で見られていたことは十分承知していたが、それ以上のことは無かった。
今回の事件については八雲茜さんの誘拐事件であり、俺達はその被害者ということでまるく収まったということである。
主犯はあの『馬鹿』・・・名前はT島というらしい・・・残念ながらバックの組織については関係を立証するだけの証拠が見つからなかったらしい。
まあ、何年か実刑を食らうだけで、『馬鹿』も命拾いしたということだな。
八雲道場のある区画の再開発については、その後、八雲さんが住民と業者の間に入って巧くやったということだ。
俺と言えば、事件が落ち着くまで八雲道場にいることになった。
事件の前後で俺達の日常に変化はなかったが、夜の練習のあと八雲さんと飲むようになった。

「いいねぇ、榊くん」

旨そうに酒を飲む八雲さんの目には、闇夜に浮かびあがった『歩ヒョウ』=『レン』の白蓮が映っていた。




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