星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第6巻



結の転章

「てめぇ、ふざけたこと吐かしてるとただじゃすまねぇぞ」

気の弱い奴なら気絶しそうな語気に、電話の向こうの野郎も腰が引けたのか、その言葉は堅かった。

「女は預かっている、助けたければ一人でここに来い」

こいつ素人だな。
直感で解った。
この程度でビビってるようじゃ、ヤバイ世界じゃ生きて行けない。
それに『ここに来い』ってったって『どこ』に行きゃいいのかわからねぇ。
素人(とうしろう)が・・・と思ったが、俺はかえって慎重になった。
相手が素人じゃぁ、何をするか見当がつかねぇ。

「おいテメェ、お嬢さんは無事なんだろうな」
「かすり傷一つでも付いてた日にゃ、テメェの命はねぇぞ」

とりあえず茜さんの無事を確かめないと・・・それに単なるイタズラだってことも考えられる。

「窓の外を見てみろ」

電話の指示に・・・しゃくにさわったが・・・従い窓から外を見た。

「下じゃない、正面右のビルの5階だ」

いた。
かなり見づらい位置だが確かに茜さんだ。
その横に立った男、どこかで見たことがあるような・・・
そういえば電話の声にも聞き覚えがあるような気がする。

「榊、お前一人でこい」

電話の声に、首を洗って待ってろと返すと電話を切った。
ますます不安気なハルに俺は、

「お前はここで待ってろ」

それだけ言って道場を出た。



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