星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−
承の転章
目の前に現れた巨大な機械人形『ビルド・アーム』は3体あった。
「下手にでてりゃつけあがりやがって」
品性を疑うようなダミ声がスピーカーから発せられる。
さっきのデブだ。
野郎、全然下手にでてないくせに・・・今度は機械まで使う気だ。
でっかいトレーラーがぞろぞろやってきた時点でこの展開は予想してたがまさか本当にこうなるとはな。
「兄貴ぃ。やばいよ」
三人の男をぶちのめしたとは思えないハルを黙ってろと怒鳴りつけると。
「今度はどうするってんだ。え?」
またもや仁王立ちで言ってやった。
「そのぼろっちい車を置いてとっとと失せろ、そうすりゃ見逃してやる」
最初っからそのつもりだったんだろうが、自分は安全な場所にいるせいか落ち着いてやがる。
・・・気に食わねぇ・・・
「ハル」
と呼びつけると。
『走るぞ』と耳うちした。
「なにごそごそしてやがる」
ビルド・アームの『どすん』という足踏みを合図に俺は、
「走れ」
と叫んで俺の車へ向かった。
その瞬間嫌な感じが・・・まさかハルの奴・・・
ハルは資材おきばの出口へ向かうべく逆の方向へ走っていた。
そういえば奴はまだ知らねぇんだ。
『あの』ことを・・・
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