星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第3巻



閉の承章

コロニー建設や小惑星開発などで使うものを改造でもしたのか、それは紛れも無い「銃」だった。
(やべぇ)
こいつは、とびきりのヤバさだ。
しかし。。。
逃げる気はない。
(へへっ)
いいねぇ
おもしれぇ
腰を少し落とし、銃口を睨みつける。
人間の使う銃弾の初速は90m/s程度。
いまこっちに向けられてるのは、それより遅く70m/sくらいだったハズだ。
前に何かの記事で読んだような気がする。
ビルドアームとオレの距離は20〜25m。
ってことは0.3秒くらいは「見える」ってことだ。
(へへっ)
十分だ。
パンチだって1秒ありゃ2,3発はブチ込める。
(へへっ)
見えた!ような気がした。
キンっと弾が掠ったのは左肩。
ダン
音は遅れてやってきた。
既にオレは走り出している。
音よりも速く。
振りぬいた右拳は銃を持ったビルドアームとすれ違いざま、その銃を持った右腕を切り裂いていた。
上腕部で断ち切られたビルドアームの腕を横目で見ながら、右手の中の鉄塊を確認した。
俗にいうところの暗器である。
(いい切れ味だ)
片腕を落とされてバランスを失ったのだろうビルドアームはフラフラと2,3歩進んでから、地面に膝を付いた。
残るは長剣のビルドアーム。
硬直は恐怖の証(あかし)か。
「ば。。。バケモンだ。。。」
マイクがONのままになってるからだろう、スピーカーからブツブツと男の声が聞こえる。
よく聞くと、更に小さい音声でゴチャゴチャ騒いでいる声が聞こえる。
コクピットの無線からのソバルの命令だろう。
「バケモンだ、バケモンだ。。。ぁぁあああああ」
追い詰められた男は絶叫を撒き散らしつつ、ビルドアームを突進させた。



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