星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第3巻



閉の起章

振り下ろされた剣は『レン』の右肩口目掛けて落下していた。
左右の腕は固定され後ろからは羽交い締めされている。
絶望的な状況ではあったが、絶望なんざしちゃいない。
(あまちゃんだな。。。)
オレは上体を更に屈めて後ろのビルドアームのバランスを崩すとそのまま腰を跳ね上げた。
柔道でいうところの背負い投げって感じだろうか。
背中で、鉄が鉄に食い込む感触を確かめつつ、屈めた上半身を引き起こし強引にステップバック。
首に巻きついたビルドアームの腕はあっさり抜け、左右のビルドアームはたたらを踏む。
正面のビルドアームは仲間の背中に剣を突き立てたまま硬直している。
しばらくそうしてろ。
まだ捕まれていた右手首をそのままに、掴んでいるビルドアームへ踏込む。
めきゃっ
っと右手首を掴ませたまま、右肘を頭部へめり込ませる。
ビルドアームが、たまらず離した右手首をそのまま裏拳として飛ばす。
べきっ
情けない音と共に頭部が吹っ飛ぶ。
やべっ やりすぎたか?
「ひぃぃぃ」
と情けない声を上げながら逃げ出すのはゆっくりと崩れ落ちた頭部を無くしたビルドアームの操縦者だ。
振りかえると、剣を持ったビルドアームと左腕を掴んでいたビルドアームがいた。
向こうの方で騒いでいるソバルからの指示に従うかどうか迷っているんだろうが、ほどなくして剣を持っている方は剣を構え。。。もう一方は。。。銃?
飛び道具ってのは、いただけないね。



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