星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第3巻



続の転章

ミシミシっ
と右足からビルドアームの構造体が軋む音が伝わってくる。
(いいねぇ)
ダン
と足を下ろし、左へステップしながらフック気味に右拳を撃ちこむ。
ぎしっ
(いいねぇ)
こいつはいい、反応速度は申し分ない。
もともとの性能か、バブさんの腕か、俺がこいつに馴染んだせいか。
この際、どうでもいいことだ。
試合開始数秒で、ダウン寸前のビルドアームに仲間のビルドアームが駆け寄る。
周囲を確認すると、ご機嫌斜めなのだろうソバルが真っ赤な顔をして怒鳴り散らしている。
ゲランも少なからず驚いている。バブさんは冷静そのものだ。
まだ試合は始まったばかり、このままぶっ倒れてもらってはこっちのテストにもなりゃしねぇ。
せっかく造ったいろんなモノも使えずじまいだ。
俺が待っている意味をどう取ったか、ソバルのビルドアームは仲間から剣と盾を受け取っていた。
使っちゃいけねぇってルールはないが、やりすぎ感が強いのは否めない。
なりふり構わないってやつか。
それでも、構えた剣と盾はそれなりにサマになってる。
さしずめ中世のへっぽこ騎士って感じか。
へっぽこはへっぽこのくせになかなか鋭い一撃を繰り出してくる。
突き、薙ぎ、振り下ろす。
しかし、残念ながらへっぽこはへっぽこだ。
自分の持った盾が邪魔でうまく剣が使えない。
(あぁーもぅ)
めんどくせーなと思いながら、まったりした攻撃を縫って盾にしがみついた。
ビルドアームからは俺が消えたように見えたハズだ。
(こんなもん。。。取っちまえ)
みりみりっ
と盾を掴むと俺は一気に引っぺがした。
みしめしゃっ
腕ごと引き千切ったかとも思ったが、とっさにマウントを解除したのだろう盾は『レン』の両腕に抱え上げられた。
これで、動きやすくなったろ?
そのままの姿勢で、睨みつける。
三つも目があるから迫力は満点だ。
いいねぇ。盾を抱えた『レン』に襲い掛かってくる気合やよし!
大上段に振りかぶった一撃を抱えた盾で受ける。
がちんっ
強烈だ。
がちっがちんっ
2発、3発の攻撃に盾が悲鳴を上げる。
やっぱこうでなくっちゃ『レン』のテストにゃならない。
抱えた盾を投げ付け距離を取る。
さて、お次は。。。っと、ん?
いつのまにか左右に近づいていたビルドアーム。
え?
両側から捕まえられた。
おいおい、そんなのアリか?



次章:続の結章


(c)General Works