星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第3巻



結の転章

倉庫での一件の翌日。
オレとバブさんはコーヒーを飲んでいた。
あんな事があった後だけに凹んじゃいるが、いつまでもこうしちゃいられない。
俺も乗りかかった船ってやつで、出来る限りの協力はするつもりだ。
「さて、何から始めるかな」
っと話を始めた時だった。
カランコロンカラン
コロンカランコロン
店に入ってきたのは預かっているビルドアームの兄ちゃんだった。
いたいた、とバブさんの顔を見てほっとした様子だ。
「クラウチはいつ頃、仕上がる?」
カウンターの前で兄ちゃんが問う。
「そっすね、パーツもいくつか取り寄せないとヤバそうなんで、少なくとも二週間はたっぷりかかりますね」
バブさんの返答に、兄ちゃんはびっくり。
「にしゅーかん!」
声が裏返っている。
「一週間でなんとかならねぇか?」
兄ちゃんはかなりあせっているが。。。
「自分が急げばなんとかなるってとこじゃないんで、こればっかりは。。。」
バブさんの返事に天を睨む兄ちゃん。
そこには小洒落た照明器具があるだけだ。
「ソバルとの決着を一週間後の約束で決めちまったんだ。。。こうなったら他のビルドアームでもかまわねぇから、なんとかしちゃくれないか?」
さっきコーヒーを飲みながら聞いた話だが、この兄ちゃん(ゲラン)と脂ぎったオッサン(ソバル)ってのは犬猿の仲のようで、最近、どっちが強いビルドアームを持ってるかっていう競争のような感じになってるらしい。
(ゲランのほうは自分で操縦するのに対してソバルのほうは手下に操縦させるそうだが)
ゲランのほうは、昔からバブさんの馴染みだったようで、ビルドアームもその流れで引き受けていたんだが、ソバルのほうは噂を聞きつけてカスタマイズを依頼してきたっぽいってのがバブさんの話だ。
しかし、目の前のゲランの様子だと、自分のせいでバブさんに迷惑かけちまったって思ってる感じだ。
ま、実際のところはソバルのオッサンに聞かないと解からねぇ。
「一週間すか。。。」
同じように天を睨んでいたバブさんは視線がこっちに向けられた。
俺っすか?



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