星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第3巻



結の承章

散々な目にあったあと俺達はめちゃくちゃになった倉庫を片付けていた。
「そうだったか、すまねぇ。。。」
きちんと調整されていなかった事が堪えてるんだろうバブさんはかなり凹んでいる。
こいつは『特殊』だって話だったから、まぁ無理もない話だ。
幸い『レン』はあの程度の攻撃じゃびくともしない。
前回の相手は『あの』上泉さんだったからな。。。
ま、こっちは調整すりゃいいだけの話だからいいとして、問題は預かりモノだ。
置いてあった車は、バブさんがスクラップから組み上げていたモノだから問題ないそうだ(問題ない訳じゃないんだろうが)。
で、
さて、預かったビルドアームをトレーラーに乗せようって時だった。
「おいおい、どした?」
まだ片付いていない壊れたシャッターの向こうに見えるのは、目の前のビルドアームの持ち主だった。
「支払いの話がまだだったんで、戻ってきたら。。。どうした?」
テメェら、そこで待ってろと手下の動きを制してから、足早に近づいてくる。
「いや、ちょっとゴタゴタで。。。」
バブさんが口ごもる。
俺は何も言う立場にない。
「ちょっとゴタゴタでこんなことになるのか?」
確かにそうだな。
「俺のビルドアームがどうこうってことじゃねぇんだ。。。何があったか言っちゃくれねぇか?」
子供に諭すように。。。実際、バブさんはまだ子供って年でもあったが。。。言うが、バブさんは黙ったままだった。
沈黙。
「アニキィ!」
シャッターの影から手下が叫んでいる。
「あぁ?」
怒気を孕んだ視線を手下の方へ向ける男。
「こんなのがそこに貼ってあったんスけど、そっち行ってもいいッスか?」
アニキの了承のあと、手下が持ってきたのは、B5版のコピー用紙に印刷された仁王立ちのオッサンのビルドアームの姿だった。
ご丁寧に足元には『レン』も写っている。
さっきの決めポーズのときに記念写真でも撮ったんだろう。
最悪だ。
「あの野郎、ここまで嗅ぎ付けてきやがったか。。。すまねぇこいつはオレのせいだ。。。」
兄ちゃんは手下に2、3指示を出しながら車へ戻っていった。
(大丈夫か?)
もちろん大丈夫な訳ない。



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