星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第3巻



転の承章

俺とバブさんが副業の倉庫の入り口をガチャリと開けたとき、
車3台にトレーラー1台の怪しげな一団が、俺達の前後に止まった。
不穏で重い雰囲気。。。要するに『そういう』雰囲気だ。
自然と身構える俺を制したのはバブさんだった。
「馴染みのお客さんだよ」
高そうな車から、高そうなドアの音がすると、高そうなスーツを着た男が出てきた。
20代後半から30歳ってとこだろう鋭い目をした男がバブさんに向かって「よっ」と声をかけた。
どうやら本当にお客さんらしい。
「調子はどうです?」
バブさんが男に聞く。
「いや恥ずかしい話だが、やられちまってよ」
頭を掻きながら話す男はなかなかの美男子でもあった。
「こいつの修理を頼みにきたって次第なんだが受けてくれるかい?」
そこまで言ってから、俺の方を見た男は、
「おっとすまねぇ、商談中だったかな?」
っと苦笑した。
「いや、こっちは商談ってほどのことでもないんですよ、わかりました受けましょう」
っとバブさん。
オイオイ扱いが違うじゃねーか。
そうかい頼んだよっと車に乗り込む男。
取り巻きの連中は俺達。。。ってかバブさんに。。。一礼してから車を出した。
残ったのは俺達とバブさんの車と依頼品を乗せたトレーラー。
「さて、先にコイツを入れちまっていいかな?」
と、通用口の横に取り付けられた巨大なシャッターの開閉装置ボックスのふたを開けると緑のボタンをガチッっと押すバブさん。
じゃらじゃらじゃらじゃら・・・・
と巻きあがり始める巨大なシャッター
そういえば、このシャッターが開いているとこは初めて見る。
徐々に上がってゆく鉄のカーテンをボーっと見つめていると、怪しげな一団がやってきていた。
今日は、怪しい一団の日か?
「よぅ」
っとさっきと同じような黒い車から出てきたのは、残念ながら脂ぎったオッサンだった。
「こっちもお客か?」
バブさんにこそっと聞くと。
「まぁ、そんなもんだ」
と、こそっと返してきた。
微妙なニュアンスの違いは否めない言い方だった。



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