星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第3巻



承の転章

副業倉庫到着。
こないだは暗くてよくわからなかったが、やっぱりデカイ倉庫だ。
俺は何気なく通用口のドアノブをガチャリと回すとあっさり開いた。
開けちまってから言うのもなんだが、カギもかけずに物騒だぞって言うと、お母さんから連絡が入ってるとのこと。
ありがとうお母さん。
『レン』はビルドアームの乗っかったトレーラの隣で、仰向けに横たわっていた。
バブさんは右膝あたりでなにやら作業中である。
「オメーよぉ」
俺の気配を背中で感じたのだろう、バブさんが話し出す。
「こんな結び見たことねーぞ」
なんでもかなり特殊な結び方をしているそうで、曰く「だるんだるん」なのだそうだ。
なにが「だるんだるん」なのかは俺には解からない。
製作者であるナオの顔が一瞬浮かんだが、俺に聞くなよって顔でこっちを見ていた。
ホントかウソか知らねぇが「遊びでこさえた」って話だから解からんでもない。
いま解かるのはバブさんがやけに楽しそうだってことだ。
職人って奴は困ったもんだな。



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