星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第3巻



起の転章

指定された場所は喫茶店。
『喫茶ノエル』
(ノエルです。。。か、確かにそうだな)
昨日の電話を思い出す。
カランコロンカラン
っとドアを開け。
コロンカランコロン
と閉める。

いらっしゃいと言うのは若い男だった。
まだ10代後半って感じだ。
後ろに続く『櫃(ひつ)』を見てニヤリとした。
「とりあえず、そいつを預かろうか」
と、一番奥のボックス席を示した。
「かぁちゃんコーヒー2つね」
とテーブルを拭きながら奥へ叫ぶと、電話の女性の声がアイヨと返ってきた。
晩飯はまだだよな?形式的な確認をすると返事を待たずに、晩飯も二人前と奥に追加オーダーをした。
うっし、とりあえずこんなとこだろう、とバーナードは布巾を置きエプロンを外した。
「バーナード・ブラマンテだよろしく。バブさんって呼ばれてるから、そう呼んでくれて構わないよ」
そう言ってバブさんは、がっちりした右腕を差し出した。
「榊 藤十郎です」
差し出された右手を握りながら名乗る。
「で、どした?」
コーヒーが出てきたのは、俺がどこから話そうか考えていた時だった。



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