星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第3巻



起の起章

「。。。お客様?」
涼やかな声が耳に心地よい。
「コロニー『バルト』に到着いたしました。。。お客様?」
もうしばらくこうしていたかったが、あんまり意地悪しても可愛そうだ。
くっっっはぁー
と大きく伸びをしてから、ごめんごめんと立ちあがる。
周囲の客は既におらず、前方から掃除が始まっていた。
「快適で寝ちまったよ」と通路へ移動する俺を「またのご搭乗をお待ちしております」と完璧な角度で送り出してくれた。
若い客室乗務員は元気でいいねぇ。
座席を予約するときは後ろがオススメだ。
前へ行くほど、座席が高級になるのと同じで、ベテランが前方へ配置されることが多い。
ま、いいや。
ポケットの中の紙切れにあったコロニーの名は『バルト』。
上泉さんのいたコロニー『ユーラシア』から定期便が出ている同じコロニー群の一つだ。
目的地がここなのは職人バーナード・ブラマンテに会いに行くためである。
(変った奴だが腕は確か。。。か)
小桜のオッサンの言葉を思い出しながら、俺は港に降り立った。



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