星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第2巻



締の承章

(つえぇなオッサン)
過去に闘った相手に感じたことの無い感情。
巧いと思った奴はいるが、強いと思ったのは初めてだった。
強い。
その強さが染みてくる。
当てた拳の先から、蹴った足先から、染みてくる。
(たまらねぇな)
ばばばばん
と撃つと
だだだだだん
と受けられる。
がががががん
と蹴ると、
ずずずずずん
と返される。
(おもしれぇなオッサン)
へへっ
知らないうちに笑っている自分に気付く。
おもしれぇじゃねか。
「え!おっさんよ」
みしっ
偶然か奇跡か、その両方か。
右拳が白銀の『歩ヒョウ』の左腕にHITした。 にっと笑みが深くなるのを感じながら俺は、右拳を振りぬく。
みしめしぃぃぃ
上体を「く」の時に折りながら白銀の『歩ヒョウ』は耐えた。
くぅぅ痺れるねぇ
次の瞬間。。。
バン
っと爆発したのは白銀の『歩ヒョウ』の右掌底。
捌こうとした左手もろとも吹っ飛んだ。
5メートル?
10メートル?
もしかしたらそれ以上ブッ飛ばされたかもしれない。
ぎぃっしぃっっっ
立ち上がろうとすると『レン』の全身が異を唱える。
みしみしと体を軋ませながら三つ目の『歩ヒョウ』を立たせる。
(そうだな。。。すまねぇ)
白銀の『歩ヒョウ』は右掌を打ち終わった態勢のままこちらを睨んでいる。
カラカラカラカラ
乾いた音を立てて、俺は腹部の纏いを解いた。
「ありがとーございました」
でっかい声で叫んでから頭を下げ、そのまま踵を返しつつ腹部を閉じる。
逃げた?
いや、ハルの野郎を回収しにいくんだ。
なんか文句あっか?



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