星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第2巻



結の結章

なんだか分からないが、生身の人間を『歩ヒョウ』でぶっ飛ばす趣味はない。
俺は腹部を開くことにした。
「急ぎの用件だ、黙って聞け」
戦闘中の『歩ヒョウ』に割って入るくらいだ、そりゃ急ぎだろ
「俺は小桜ってケチな野郎だ、うちのバカ野郎が迷惑かけちまってすまねぇ」
小桜?そういや小桜のオッサンにどことなく似てる。
「ハル君は無事だ、この病院に預かってもらってる」
もう一人の小桜が胸ポケットから四角い写真を取り出し投げた。
写っているのはハル、けっこうダメージはあるようだが、見た目ほどじゃない。。。と思う。
「裏に住所と電話番号を書いといた」
俺はそうかいとだけ返す。
「用件はそんだけだ、で、逃げるならフォローするし、暴れてぇなら止めやしねぇ」
小桜は乗り出した上半身を引っ込め腹部を纏いなおす。
「頑張んな、ニーチャン!」
最後にそう言って、勝手に吹っ飛んだ。
俺も既に胸部を纏いなおしている。
(逃げ帰る訳ゃねぇってか)
既に小桜の『歩ヒョウ』の姿は見えなくなっていた。
へへっ
小桜さんよ、あんた見る目あるねぇ!



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