星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第2巻



結の承章

マウントポジションを取ってからのイトーは強かった。
いや、巧かった。
ネチネチとした打撃は戦意を喪失させる代物だ。
はたから見れば、ボコボコって言われてもいいやられかただ。
(いい勝負じゃねーよな?)
俺はそんなことを思いながら致命的な打撃を避けつつしのいでいた。
(さて、どうやってハルの奴を助ける・・・)
こういう状況になって逆に考える余裕ができたが、俺の負けがハルの解放に直結している以上、如何ともしがたい。
俺が負けてなおハルを解放しないってこともありえるが、どうやらイトーの目的は俺に『いい勝負』で勝利することにあるらしいってことは分かってる。
ってことは、この勝負が終わりゃハルも用なしってことだ。
しかし。。。
「気にくわねぇな」



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