星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第2巻



結の起章

(あぶねっ)
辛うじて一撃目をかわした。
手抜いてるにしちゃいいパンチだ。
そういえば、ソバ屋のアイちゃんも小桜のオッサンもけっこう使うって言ってたっけ。
続けて、振り返りざまに右回し蹴りが跳ね上がってくる。
ギシッ
左腕でガードするとその重さが実感できた。
(野郎本気だろ)
しかし、どうする?
ドスッ
いいようにヤラレちまうのか?
ギシャッ
数発を受け数発をかわし数発を食らった後、攻撃は中断された。
イトーの『闇黒龍』が少し距離を置いて、おいでおいでしている。
そうだったな『いい勝負』しねぇといけねぇんだった。
トトンと踏み込み、右回し蹴りを跳ね上げる。
狙いは頭部。
見栄えはバツグン。
歩法で避けるなり、手で弾くなりしてくれ。
俺の蹴りは『闇黒龍』の顔面を擦る勢いで通りすぎた。
(ギリギリじゃねぇか)
脚を引き戻した次の瞬間、『闇黒龍』がタックル。
反射的にタックルを切りそうになったが、そのまま後ろに倒れこんだ。
そのまま馬乗りになった『闇黒龍』はそのまま拳を振り下ろしてくる。
「危ねぇじゃねぇかコノ野郎!」
そんなイトーの言葉が聞こえてきそうな勢いだった。



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