星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−
起の転章
天ぷらソバを食いながら、ソバ屋のおばちゃんから情報収集。
さっきの兄ちゃんは、ご迷惑をおかけしましたって頭下げてから出ていった。
悪い奴ではなさそうだが、世渡りは下手そうだ。
けっこう暴れたはずだが、被害は湯呑み1個だったからかおばちゃんの口は軽かった。
「いやねぇ、上泉さんとこもおっきくなっちゃってさ・・・」
訂正、おばちゃんの口が軽いのはおばちゃんだからだ。
「いまさっきの連中だけど。。。ナイショだよ?。。。上泉さんが世話になってる人の知り合いのボンボンでしかも『ヒョウ師』ってんで、もう手がつけらんなくなったらしくてさぁ」
「上泉さんのとこでも持て余してるらしくて。。。ああみえてけっこう使い手らしいのよ。。。」
『ヒョウ師』っていやここだろって、のこのこやってきた俺は何も言えない。
さてどうしたもんかなと、最後のソバをすすっていると入り口の戸がガラリと音をたてる。
「こんちはアイちゃん」
腹の出た中年オヤジが入ってきた。
但し、背骨が鋼鉄でできていそうなオヤジだ。
アイちゃんという名のおばちゃんは、あらどしたのと振り返る前に、今の話ナイショだからねと目で訴えた。
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