星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶−

星乱拳客伝 外伝 −鋼の記憶− 第1巻



結の起章

身体が硬直してしまうことがある。
極度の緊張や目の前の現実を受け入れられない場合、脳が思考を拒否する。
俺は仕事の関係上、そういう人間をたくさん見てきた。
平凡な人生を送りながらも、その平凡な日常に不満を持っているヤツら。
飲み屋で声高に己の非凡さを語る凡庸なオヤジ達。
ウザったいそいつらを非日常的な状況へおとしいれるべく襲い掛かるのは、飲んだくれた若者や怖いオニイサン達だ。
硬直した凡庸なオヤジを窮地から救っても礼の一つもない。
どうして、こういう奴らがウロツイているんだって目でみられるのが落ちだ。
おっと、話がそれちまった。
目の前のビルドアームもやっぱり硬直している。
やっぱり、非現実的な現状を理解できないからだ。
止まった思考を動かしてやる方法がある。
それは。。。
どんっ
俺は、右足をわざと大きく踏み込んだ。
ぐわんっとビルドアームが突進してくる。
へへっ
ガツンと両腕を捕まえた俺はチラリと後方を確認した。
「ちっとばかしコイツの実力を試させてもらうぜ」



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