星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団

星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団 虹色の巻



第11章

窓の向こうは満天の星宙(ほしぞら)であった。
幻夢(げんむ)。
それが、この船の名前であり、ここはそのオーナーである天道の部屋であった。
「ご苦労様でした」
いつもの微笑を浮かべたままゼファーの報告を聞き終えた天道は、微笑を少し深くしてそう言う。
これもいつもの仕草であった。
(まったく食えない男だな)
突然の爆破の報告にも眉一つ動かさない。
ほぼ間違い無く天道の仕業であろうとは思うが、深く問いただすつもりもなかったし、天道が話す筈もなかった。
それは、お互いの身を守るための暗黙の約束事であった。
「それでは、失礼します」
優雅とも言える仕草で一礼するとゼファーは踵(きびす)を返した。
部屋のドアをガチャリと開け、バタムと閉じる。
(ふぅ)
任務終了であった。



次章:終章


(c)General Works