星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団

星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団 虹色の巻



第8章

警備主任バラカンが屋上の警告アラートが点滅してから現場に到着するまで、2分弱。
悪くはない時間であったが、現場から逃亡するには十分な時間でもあった。
警備室にザックスを残し、ハリー、タルガ、リーを引き連れて煙の立ち込める屋上出口へ到着。
「現場到着」
インカムに告げると、警備室のザックスから了解の返答と共に、他に警告アラートなしとの報告がはいる。
爆破されたのであろう出入口を確認できるところへタルガを待機させ、俺達3人は屋上へ歩を進めた。
交錯する3つのライトの光を少し悔やんだが気を取りなおし周囲の捜査を開始した。
と、ほどなく怪しげな人影がふらりと現れた。
この上なく怪しい状況であるにもかかわらず、警戒している様子はまったくなかった。
「おいそこの、止まりなさい」
口調が少し柔らかくなってしまったのは、その警戒心の無さのせいかもしれない。
「何かご用ですか?」
3つのライトに照らし出された『彼』は怪しい仮面を被っていた。
『怪しい男』がいるべき場所は『怪しい場所』で当然と言うかのように。



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