星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団

星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団 虹色の巻



第5章

サーカス団にイリュージョニストという組み合わせが一般的であるのかどうかは解からない。
いまどき、サーカス団などというものが存在していること自体がイリュージョンのようなものである。
赤い男=ゼファーは、それで構わないと思っていた。
サーカス団の団長である天道も構わないと言ってくれていた。
『じゃ、そういうことで』
こういう状況のとき不意に団長の薄い微笑が脳裏に浮かぶ。
『こういう状況』というのは、暗闇に身を隠している時であり、これから起こるであろう何かを待っている状況であった。
そして、これが彼のもう一つの仕事でもあった。
(さて、何がおこることやら・・・)
とある場所にとある時間にいてくれればいい。
問題はとある場所というのが、某企業の本社ビル屋上であり、とある時間が深夜2時ということである。
AM1:58
とある時間まで2分。
どどん
低い爆発音が扉を吹き飛ばした。



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