星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団

星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団 虹色の巻



第4章

セイラは無意識の内に赤い男を捜していた。
この公演を楽しんでいなかった訳ではない。
しかし赤い男が、何者なのか知りたかったのである。
演目は進み、不意の一瞬の暗転。
次の瞬間、アリーナの中心に浮かんでいたのは仮面の男であった。
(赤いおにーちゃんだ!)
男はイリュージョニストであった。
古典的な言い方をすれば手品師、いや、奇術師としておいたほうがこの男には相応しいかもしれない。
男は炎に包まれ、水槽から忽然を姿を消した。
「アディオス」
暗闇に浮かぶ巨大な仮面のホログラムが異国の言葉で別れを告げた。



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