星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団

星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団 虹色の巻



第1章

「しんじゃったね」
ぶつかったあげくヘッドバットを食らわせた相手は赤い服を着た若者であった。
さりげなく彼女を道の端によせ、彼女に目線を合わせるべくしゃがみこんだ若者は女性と見間違えるような細身の男であった。
(いいにおい。。。)
赤い男からほのかに香る匂いにが彼女の第一印象であった。
「歩きながらゲームしてるとあぶないよ」
『ともだち』に話し掛けるような柔らかい口調であった。
「うん。。。ごめんなさい」
赤い男が素直に誤る彼女の頭に手を置き、気をつけて帰るんだよと立ち上がろうとしたその時であった。
「よぉネーチャン 俺達とあそぼーぜ」
下卑た声が赤い男に向けられると、周囲の人々がすーっと遠ざかって行く。
「私のことですか?」
立ち上がる赤い男。
その瞬間、セイラは言葉にできない違和感を感じていた。
あえて表現するなら。。。『このヒトだれ?』
赤い服の男は赤い服の男のまま赤い服の男でないモノに変化していた。
眼前でひどく善くないことが起きようとしている。
それは解かっているのにどうしていいか解からない。。。
「気をつけて帰るんだよ」
自分の世界から現実へ戻ったとき赤い服の男はその言葉と香りを残して下卑た笑いをこびりつかせた男達に連れられていった。
(赤いおにーちゃん・・・)
セイラは携帯ゲーム機をカバンに落とし入れ、家路を急いだ。



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