星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団

星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団 虹色の巻



序 章

チチッチーチチッチーチャカスカトコッ
小さな電子音を響かせながらセイラは歩道を歩いていた。
最近、復刻された携帯ゲーム機に夢中なのである。
デッデデェーデッデエェー
決して少なくはない人ごみを器用に避けながら進む様は、彼女自身がゲームキャラクターであるかのように見えなくもない。
ビョビョビョビョビョビョ
大ボスの登場に彼女の気持ちはゲームへ集中する。
どん
とセイラは頭から何かにぶつかってしまった。
デデッデデーデーデードドスカドチュン
画面に落っこちてくる「GAME OVER」の文字を確認するより前に彼女は、
「ごめんなさい」
と頭を下げる。
基本的に悪い子ではないのである。
しかし、それがまた結果的に頭突きを食らわせることになってしまったりするのが、彼女の彼女たる所以である。



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