星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団
第10章
(どうしよう)
後悔の念が頭の中でぐるぐると渦巻いていた。
(怒られちゃうかな)
何故か他人事のように思える眼前の光景。
油断なく電磁棒を構える警備会社のビルドアーム。
その電磁棒の先が揺れていた。
(何か言っているの?むだだよ僕には聞こえないんだもの)
呆けたようにしゃがみこんだ『歩ヒョウ』の中で白昼夢を見るが如くのジルガ。
その瞳に・・・
(バカヤロウ)
不意に『言葉』が飛び込んできた。
崩れ落ちるビルドアーム、その向こうにタリの『歩ヒョウ』が仁王立ちしていた。
(イクヨ)
短く『歩ヒョウ』を明滅させたタリは港の方へ走り去った。
(マッテヨ)
ジルガも慌ててタリの後を追う。
コロニー『トロネリ』の夜明けまでは、あと少しであった。
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