星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団

星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団 緋色の巻



第9章

1・2・3歩で距離を詰めていた。
逃げられる距離ではない。
それに、ここは港に近すぎた。

(とっとと片付けて戻らなきゃ・・・)

近い方のビルドアームの電磁棒をかいくぐり上体を沈めて右肘を叩き込んだ。
いわゆるチョウチュウというやつである。
崩れ落ちるビルドアームを肩に抱え、そのままもう一台のビルドアームの方へ投げ飛ばすジルガ。
しかし・・・

(どこいった?)

放物線を描きつつ地面へ落ちたビルドアーム。
残りの一台の姿は無かった。

(逃げた?・・・)

そう思った瞬間であった。

がつん

と強烈な一撃がジルガの『歩ヒョウ』を地面に叩きつけた。

「大人しくしろ!」

電磁棒で威嚇するビルドアームを見上げるジルガは何も考えられなかった。



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