星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団
第1章
「へぇ、サーカスかぁ」
暖かい家庭の食卓にトモが巨人にもらったチラシが載っていた。
夕食のハンバーグを食べ終わり、母親はキッチンで洗い物をしているのであろう、かちゃかちゃと食器が水の中で踊る音が小さく聞こえる。
「ねぇ、パパもいきたいよね」
小さな瞳が父親の隣で輝いている。
「どうしようかな・・・」
父親の言葉に、
「いっしょにいってあげてもいいよ」
そう言うと、パタパタとキッチンに駆けていく。
「ねぇ、ママもいっしょにいってあげてもいいよね」
母親はどういう返答をしたものか、またパタパタと駆け戻ったトモ。
「ママもいっしょにいってあげてもいいよってゆってたよ」
ニコニコしながら報告するトモ。
「しょうがないな」
あきらめたように父親が言うのをキッチンから出てきた母親が、
「ホントにしょうがないわねぇ」
どうやら今回も娘の勝利のようである。
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