星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団

星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団 藍色の巻



第14章

「あぶない」

少年の叫びに応えるように、藍色の『歩ヒョウ』はビルドアームの肩から、もう一方のビルドアームの頭部を踏み台にして・・・飛んだ。
空へ。
そして、天空へ舞った藍色の『歩ヒョウ』へと飛翔を続ける黒い影と交差する・・・
その瞬間を少年は見た。
藍色の『歩ヒョウ』がその手に剣を握った瞬間を・・・
それは一枚の絵画のように少年の脳裏に焼きついた。
『悪鬼と聖戦士』
その絵にタイトルをつけるなら、そう名付けるだろう。
態勢を崩した二体のビルドアームの向こうに舞い降りた藍色の『歩ヒョウ』。
その右手には細身の長剣が握られていた。
右手を前に軽く腰を落した構えはフェンシングの構えに近いだろうか。
ビルドアームが態勢を整えるまもなく、すばやい踏み込みと鋭い一撃で右側のビルドアームの喉元を刺し貫いた。
鍔元まで刺し込んだ剣を軽くこじつつビルドアームの右側に回り込む。
首の付け根から火花が跳び、白煙が続いた。
もう一体のビルドアームは仲間のビルドアームと白煙が邪魔で攻撃できないでいる。
向こうに回り込んだ『歩ヒョウ』を討つには、左右どちらかに踏み込まねばならない。
右か左か・・・一瞬の躊躇であった。
しかし、その一瞬の間が勝負の別れ目であった。
立ち昇る白煙を割って繰り出された藍色の『歩ヒョウ』の一撃がビルドアームを貫いたのである。
勝敗は決した。



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