星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団

星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団 藍色の巻



第13章

見事なコンビネーションであった。
二台で連係して動作することを前提にプログラミングされているのであろう無駄なく素早い動きは、藍色の『歩ヒョウ』に攻撃をする余裕を与えなかった。
二台のビルドアームの駆動音と打撃音が続く。
その音に刺激されたものか、気を失っていたマモルくんが目をこすりながら上半身を起こす。

「・・・ん?」

状況が飲み込めないマモルくんの見た光景は藍色の人型に襲いかかる二体の異形の者であった。

(あぶない!)

藍色の『歩ヒョウ』を左右から挟んだビルドアームが同時に電磁棒を振るった。
一方は上から叩き付けるうに、もう一方は下からすくい上げるように。。。

「逃げて」

思わず叫んだマモルくん。
その声に反応した訳ではないのだろうが、藍色の『歩ヒョウ』は右側・・・下から攻撃している方・・・へ踏み込み、電磁棒を持ったビルドアームの腕に脚をかけ、肩へと駆け昇った。
『歩ヒョウ』の背中、ぎりぎりのところをもう一体の電磁棒が唸りをあげて通り過ぎる。
まるで夢の中のような光景に心を奪われるマモルくん。

ざん

その時、マモルくんから数メートル向こうの街路樹が揺れた。

(なに?)

夢と現実の境目が曖昧なままの少年の瞳に映った物は『歩ヒョウ』に向かって放たれた影であった。
鋭い棒状のそれは『歩ヒョウ』へ向かって飛翔してゆく。

「あぶない」

少年は黒い影に刺し貫かれた『歩ヒョウ』を思い、声を上げた。



次章:第14章


(c)General Works