星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団

星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団 藍色の巻



第10章

マモルくんは家に帰る途中であった。
夜。かなり遅い時間である。

「母さん、怒ってるかな」

友達の家で遊んでいて、遅くなったのである。

「今日は遅いから泊ってく?」

友達のお母さんにそう言われたのであるが、マモルくんは家に帰る事にした。
それならと、家まで送ってあげようという申し出も断り、電話で母に今から帰ることだけを伝えて友達の家をでた。
時間が時間である、マモルくんのお母さんも迎えに行くと言っていたのであるが、一方的にマモルくんが電話を切ったのである。

「やっぱり、怒ってるよな」

母の事を思うと心が痛んだ。
しかし・・・
マモルくんは夜道を一人で歩きたかったのだった。
時が止まったかのような風景の中。
自分だけが誰も知らない日常の裏側を探検しているかのような怪しい感覚が、マモルくんの中の冒険心を掻きたてていた。
日常の小さな冒険旅行。
家まであと十数分。
何年後かにマモルくんが通う事になる学校の脇を通った時の事であった。
学校脇の道路を隔てた向こうの公園。
その公園の木陰から何かが、巨大な何かが現れたのであった。



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