星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団
第7章
「あの『船』ですか?」
話は『港』で見た・・・正確には『港』の外に係留されている・・・巨大な『船』に移っていた。
「そうです、あれは我々の家とも言うべき『船』で『幻夢(ゲンム)』と言います」
「このサーカス団の名前は、あの『船』から付けたものなのです」
「面白い形をしていますね」
「そうですね、あの『船』はもともと宇宙戦用のバトル・アームだったのです」
バトル・アームというのは戦う為に創られた機械の総称である。
マモルくんの父親は、バトル・シップでない事が少し気になったが何も言わなかった。
「廃棄処分にされる筈だったのですが、なにぶんあの大きさでしょう?しかも、いたるところに最新技術・・・今では随分旧式になってしまいましたが・・・が使われている」
「紆余曲折があったのですが、全ての武装を解除したアレを私が譲り受けることになったのです」
嫌になるほど書類にサインしましたよ、と笑う天道。
気が付くと部屋にはマモルくんの父親、天道、向こうのソファに少年が一人の3人が残っていた。
・・・マモルくんの父親の後には誰も入ってきていない・・・
部屋に設置された小さなディスプレイの数字が「ポーン」という間抜けな音と共にプラス1された。
「お先に」
飛び跳ねるように向こうのソファ の少年が審査室へ入って行く。
「息子に旅暮しをさせたくは無いのですが、この暮しが気に行っているようで・・・喜んだものか困ったものか」
少年のいた方を向いた天道氏の顔は、父親のそれであった。
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