星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団

星乱拳客伝 外伝 天道幻夢団 藍色の巻



第2章

「ねぇ母さん、これ何だと思う?」

マモルくんは家に帰る早々母親に尋ねた。

「えっ。なあに?」

自宅で仕事中だった母親に自分の携帯端末を見せに行くマモルくん。

「これ、船だよね」

映像はオモチャのカメラで取り込んだデータではあったが、かなり鮮明に映っていた。

「そうねぇ・・・あまり詳しくないから解らないけど、これだけ大きなものっていえば貨物船じゃないのかしら」

港に入れない船の為の係留装置・・・自走通路と係留フレームが一体になった鉄骨むきだしの構造物・・・に繋がれた姿はどことなく囚われた生物を思わせた。

「そうだ、もうすぐ父さんが出張から帰ってくるから『港』で何か見てるかもしれないわよ」

マモルくんの父親はコロニー建設の技師であり今日、出張から帰ってくる予定なのだ。

「そうだね、父さんに聞けばきっとわかるよね」

そう言ったマモルくんは、父の帰るまでの2時間に8回同じ質問をしたのであった。



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