星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

六の巻


第1章


「キャンセル?」

と、叫ぶ赤いアフロのチビスケは、三雲茜であった。

「まぁ、そういうことだね。。。現在までの状況を報告書にまとめて、指示があるまで待機って指示だから、どっかから圧力がかかったんじゃないかな?」

相変わらず冷静なのは、小桜(ザク)である。

「でもサ、そんなん最初っからわかってたじゃん。」 「局長だって『財団』が絡んでくるかもしれないとか言ってたし、こっちはこっちで別の強力なコネがあったんでしょ?」

ゴネる茜であったが、この場の雰囲気は『しょうがないんじゃないの?』的な感じであった。

「そのへんも含めて、いま局長が調整してるから大人しく待ってなって」

無骨なメカニックのハンスが熊のような風貌で赤いアフロをくしゃくしゃっとかき回すと、もう!と茜が飛び上がる。

「双葉みなかったか?」

蘭丸が、現れたのはそんな場所であった。

「ねね、アニキ聞いた聞いた?」

茜が新たなターゲットを見つけて駆け寄ってくる。

「双葉みなかったか?」

お互い、相手の言うことなど聞いちゃいない典型である。

「キャンセルだってサ!」

「双葉みなかったか?」

会話が平行線のまま見事にすれ違う。

「そういえば双葉ちゃんみてませんね」

ザクが視線をハンスに移すと、いかつい熊のような親父は慣れた様子で小さく肩をすくめる。
オヤジマニアにはたまらない光景であろう。
残念ながら、この場にオヤジマニアはいないようだった。

「子供じゃないんだから、そのうち出てくるでしょ!」

一番子供の茜に諭され、大人たちは黙ったのであるが、双葉は消えていた。



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