星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編
五の巻
第8章
(なに?なんなの?)
双葉は『歩ヒョウ』=『ディアブロ』の腹部を開き、蘭丸に問おうとしたが、自分には何の手立てもない事に気付き、指示された通り丸めた布状の『HT』の端を踏みつけた。
これは、双葉が整理していた『道具箱』の中にあったものの一つで、傷ついた『歩ヒョウ』の応急処置をするいわば包帯のようなものである。
「しっかり押さえといてくれよ!」
蘭丸は、そう叫ぶと腹部を纏いなおして船の外へ『歩ヒョウ』=『鈴音』を向き直らせ、
(えっ?)
手にした筒状の『HT』を投擲したのである。
コロニー内部に伸びる白い布状の物体。
蘭丸は『歩ヒョウ』=『鈴音』の足を布状の『HT』の上に乗せ走り出した。
(なんて事を。。。)
蘭丸の『歩ヒョウ』=『鈴音』の数メートル前を自らが道となりつつ伸びる『HT』。
天翔(か)けるとは正にこのことか。
その行く先には落下を続ける茜の『歩ヒョウ』=『猩々』の姿があった。
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