星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編
五の巻
第7章
赤い『歩ヒョウ』を乗せた『特機』が地表に向かって進んでいた。
見ようによっては孫悟空の乗せたキントウンに見えなくもない。
ここは回転を止めたコロニー『カンダ』の内部。
茜の『歩ヒョウ』=『猩々』(通称:ゴリポン)の『特機』の試験飛行であった。
「やべぇ。。。」
小桜(ザク)の「あっ ガス欠だ!」の叫びから、『特機』が急に動かなくなったのを必死にコントロールしようとしている茜の姿を思った蘭丸。
しかし、推進装置の出力がない状態で『特機』の方向を変える術はない。
それほど早いスピードではなかったが、地表の構造物を破壊するには充分な速度であった。
茜も無事では済むまい。。。
「ザク!」
蘭丸は『歩ヒョウ』=『鈴音』の腹部を開いて叫んだとき、
小桜(ザク)は既に小型機に向かって走っていた。
しかし。。。
「間に合うか?」
(何かないか?。。。何か。。。。)
周囲を見回すと蘭丸の目に飛び込んできたのは双葉が整理していた『道具箱』の中身であった。
(これは!)
『歩ヒョウ』=『鈴音』で筒状のソレを掴むと、もう一体の『歩ヒョウ』=『ディアブロ』に近付いた。
「双葉、コイツを押さえとけ!!」
手にした筒状の端を引っ張り出した蘭丸はソレを踏みつけていた。
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