星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

五の巻


第5章


「ねぇ〜ま〜だ〜?」

茜(あかね)がアフロを揺らしながら赤い『歩ヒョウ』=『猩々』(通称:ゴリポン)の背中から叫んでいる。
隣には、双葉の『歩ヒョウ』=『ディアブロ』の巨体と、蘭丸の『歩ヒョウ』=『鈴音』が控えていた。

「みなさん、準備いいですか?」

『ゴリポン』の乗った『特機』の横でザクが声を張り上げると、双葉と蘭丸が準備OKの声を上げた。
これから茜の『特機』のテスト飛行をするところなのである。
もしもの事を考えて、双葉と蘭丸は待機。
「『火』入れるけど、急発進しないでね!」
そう言うとザクは『特機』の中に上半身を潜り込ませてた。

ごふっふふっ
 ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ・・・

ザクは『特機』から少し離れながら、

「そのまま発進すると床を擦っちゃうから、ちょっと床を蹴ってからアクセル開けてみてー」

は〜い、といいお返事をしてから茜は『ゴリポン』の中へ収まった。
それをみた双葉と蘭丸もそれぞれ歩ヒョウを纏いなおしている。
ザクは手元の汎用携帯端末に『特機』の推進装置の遠隔装置を呼び出していた。
なにかあった場合、強制的に出力をカットするためである。
当初『特機』にワイヤーでもつけておく予定であったのだが、それでは逆に危ないであろうということで、このような対応となった。
『特機』の左脇に屈み準備をする『ゴリポン』の姿は、ボブスレーのスタートシーンのようであった。

トンッ
 ゴヒュッ

「巧い!」

少々体勢は崩れていたが、とても初めてとは思えない発進であった。
茜の赤い『ゴリポン』を乗せた『特機』(茜命名:キントウン)は、ゆっくりと『コロニー』=『カンダ』中へ進んで行く。



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