星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編

五の巻


第2章


「えっ!いいの?」

茜が双葉のもとを訪れたのは蘭丸が現れる少し前であった。

「うん、もってって。あたし『これ』苦手だから」

双葉は巨大な『歩ヒョウ』=『ディアブロ』の腹部を開いた状態で、なにやら作業中であったが、『道具箱』から何かを引き摺り出すと床に置いた。

「。。。で、これ。。。なに?」

茜がアフロな頭を揺すりながら、『ディアブロ』の腹部から身を乗り出している双葉に問うと、

「『特機』だけど。。。」

しばしの沈黙の後、

「あっ、こういう特機みたことないよね?」

ごめんごめんと、双葉は『特機』を組み上げると、それは丈の短い寝袋のような物体になった。

「で、こうやって乗って。。。」

寝袋の中央に足を乗せると、ぎしぎしっと音がした。

「飛行姿勢は、こんな感じかな?」

双葉は『ディアブロ』を片膝立ちの姿勢にすると茜のほうを向いた。

「ほへぇ〜んじゃ、飛んでみてよ〜」

瞳からワクワクがこぼれ落ちそうになりながら茜が言うと、『特機』をぎしぎし言わせながら『ディアブロ』は床に下りた。
え〜なんで飛ばないの?
のブーイングを苦笑で迎えながら、双葉は『ディアブロ』を降り、茜の方へ歩きだす。

「『特機』ってのは、推進装置が付いてないのよ」
「エンジンのない、車ってとこかな?」
「だから、推進装置をどこかで調達してそれを『特機』が抱え込むような感じなんだけど。。。解るかな?」

腕組みをしている茜は何やら難しい顔をしていたが、

「とりあえず、ザクんとこ行ってみるよ」

そういって、双葉から手渡された大き目の座布団ほどになった『特機』を抱えて茜は走り去ったのである。



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