星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編
四の巻
第9章
梅田局長、ハンス、蘭丸、双葉、茜、そして小桜。
6人は中型外洋クルーザー『グリソム』の艦橋にいた。
「まぁ。。。なんだ、海賊ってことじゃなかったしな!」
ハンスの口調は微妙である。
3機のビルドアームの襲撃は海賊ではなく、クライアントからの情報伝達を兼ねた実力テストであった。
そして、完敗であった『ヒョウ師』三人の落ち込みは、相当なものだった。
「だって、向こうはビルドアームだし、こっち自由に動けないんだよ!」
茜は頬を膨らませて、ズルイヨと締めくくった。
別に誰も責めているわけではない。
『歩ヒョウ』は上泉氏などの一部の飛行ユニットを装備できるもの以外、宇宙空間での自立移動ができない。
それが、最大の敗因であろう。
しかし。。。
(それだけだろうか?)
そういう思いが一同の心の中にはあった。
少なくとも双葉の心の中には、明らかな敗北感があった。
次、重力のある場所で戦えば勝てるのか?
そう問われれば勝てると言い切れない。
「あれは只者じゃありませんよ」
「巧妙に隠してありましたけど財団臭い機体でしたし、市販の機体であんな動きができるのはありゃしません」
小桜が少しおどけながらもマジメな口調で言う。
「そうだな、ありゃフレームからトータルパッケージで仕上げなきゃ無理な動きだ、それに。。。パイロットも只者じゃない」
ハンスもまた職人の顔になっている。
「噂で聞いたことがあるんですが、元エージェントライの凄腕が財団の『処理部隊』として動いてるって話です」
小桜の噂話がどこまで本当なのか、この時点では誰も知らない。
(c)General Works