星乱拳客伝 外伝 三つ目 廻国編
四の巻
第3章
カーゴルームに所狭しと並んだ、
蘭丸の『歩ヒョウ』=『鈴音』。
茜の『歩ヒョウ』=『猩々』。
双葉の『歩ヒョウ』=『ディアブロ』。
そして、小桜の『小型宇宙船』=『フォボス』。
「やっぱアニメみたく都合良くいかねぇもんだな」
開きっぱなしの腹部から半身を乗り出した蘭丸。
「どういう順番で出る?」
こちらも腹部から顔を覗かせている双葉。
「ランさん、姉さん、アタシ、ザクでいいっしょ?」
茜が猩々の背中から見上げながら言う。
特に異論などない一同は、歩ヒョウを纏いなおし小桜に合図を送った。
通信手段のない歩ヒョウのヒョウ師達の意思を伝達すべく、小桜はコントロールルームの局長とハンスにカーゴルームの解放を依頼する。
ゴッ
とカーゴルームの空気が抜けると、ゴリゴリと外部ドアが開いて行く。
漆黒の闇に煌く星々。
宇宙であった。
『鈴音』『ディアブロ』『猩々』が次々と星々の世界に身を躍らせて行く。
最後に残った小桜の小型船がゆっくりと旋回を始める。
この船にも一応カタパルト的なものはあったが、使ったことはない。
器用に外部ドアを抜けると小桜はグリソムの甲板に並んだ3体の歩ヒョウを振りかえった。
(なかなか絵になるね)
歩ヒョウ達の少し後方でグリソムと相対速度を合わせると迫り来る光点に視線を向けた。
「こっちは準備完了。向こうの正体は解かりました?」
小桜が無線の向こうの局長とハンスに問う。
「了解。正体はやっぱり不明だ、それから向こうの船から何か出てきやがった。数は3つ」
ハンスの言葉である。
「了解。見えてる」
光点から更に小さい光が三つ分岐したのが見えていた。
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